開会から告発議案の可決までわずか24分
9月定例会初日のこの日、市議会本会議は百条委の井戸清司委員長が市長を告発する必要があると結論づけた調査結果を報告。続いて行なわれた告発を行なう議案に、全議員が賛成した。
東洋大を卒業したとして“卒業証書”とするもの周囲に見せていた田久保市長。しかし、卒業はウソで学歴を詐称したとの疑惑が深まると『6月28日に東洋大で確認すると除籍になっていたことを初めて知った』と主張し、卒業したと勘違いしていたので学歴詐称にはならない、と説明してきた。
だが、その前から卒業証書とされるものの提示を求めた中島弘道市議会議長らに“チラ見せ”をするなど、卒業していないことを以前から認識していた疑いが強まったため百条委が設置されていた。
「百条委は田久保市長に卒業証書とされるものの提出を求めましたが、彼女はこれを拒否。7月には証人尋問への出頭も拒否し、8月に再度出頭を求められると出席しましたが、その尋問時には、質問に正面から答えない事実上の証言拒否をしたり、虚偽証言をしたりしたと百条委は判断しました。
その結果、本筋の学歴詐称ではなく、百条委の調査を妨害した容疑で告発することになりました」(地元記者)
開会から告発議案の可決までわずか24分。ここで中島議長が休憩を宣言すると、市役所から2人の職員が直線距離で約250m離れた伊東警察署に車で向かった。
「手はず通りに告発議決直後に告発状が警察に持ち込まれました。市議会は県警とも事前に調整しており、議決から約20分後の10時45分には署内で告発が受理されました」(地元記者)
この報告を聞いた中島議長は議事を再開し、田久保市長の不信任決議案が上程され、再び全会一致で可決された。
この手順は先週から練られ、背景には「兵庫県の事例を研究した」(地元記者)という。
兵庫県では昨年、斎藤元彦知事の一連の疑惑を調べる百条委が設けられたが、結論が出る前に疑惑とは関係のない斎藤知事の百条委での態度が問題視され、怒った議会は一気に不信任決議に突き進み全会一致で可決された。
だが、失職を選んで出直し知事選に再出馬した斎藤知事は“疑惑はウソで斎藤さんはハメられた”との情報が飛び交う中で急激に支持を伸ばし、再選している。
中島議長は閉会後「万が一、告発受理の前に不信任案を出してすぐに解散でもされたら百条委員会での告発もできなくなってしまいますので順を追って丁寧にやりました」と説明。百条委の調査が無駄にならない道を模索したことを吐露した。