ゴキブリの魅力を知ってほしい 

今年でゴキブリの研究歴は8年になり、ゴキブリに関わる38本の論文や短報を発表してきた。執筆に携わった著書は9冊となる。柳澤氏は著書内でゴキブリの面白さをまとめるほか、都市伝説をいくつか否定してきた。

「1匹見つかると100匹いるとか、攻撃力が強い、人間に向かって飛んでくるとか、恐怖を助長する都市伝説が横行していますよね。

『1匹見つかると100匹いる』というのはそうとも限らないが結論で、ゴキブリがその家屋で繁殖しているのであれば100匹以上のケースもありますが、たまたま1匹だけ部屋に入ってきた可能性も十分にあります。

また、死ぬ直前に卵を産むことはありません。腹部の先端で保持していた卵が複数入った鞘(卵鞘)が腹部から外れたことで、そう見えたということだと思います。

またゴキブリは人間に襲い掛かってくることはありません。攻撃してくるは誤解です」

日本最大のゴキブリ、ヤエヤママダラゴキブリ
日本最大のゴキブリ、ヤエヤママダラゴキブリ

ゴキブリのイメージについて、「ゴキブリのことを知らず嫌いしている方が多いのではないか」と語る柳澤氏は、自らゴキブリ展を企画し開催している。

ゴキブリ展ではただ展示するだけではなく、48種のゴキブリから好きなゴキブリに投票できる「GKB48総選挙」のイベントを実施するなど、企画を通して魅力の発信に努めている。

ゴキブリ展(企画展示室)
ゴキブリ展(企画展示室)
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ゴキブリは嫌われている昆虫ではあるが、嫌いゆえに興味を持っている方は多く、解説を行うと面白がってくれる方が多いという。「昆虫の入り口としてのゴキブリという存在に期待している」と柳澤氏は最後にそう語った。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班