ゴキブリは人間の生活を支えている?
ほかにもゴキブリの天敵は多いという。柳澤氏は「ゴキブリは色々な生物から襲われる存在。そのためゴキブリがいなくなれば、ゴキブリを利用して生きている生物たちに影響がある」と指摘する。
「よく見るクロゴキブリも他の昆虫やクモ、トカゲなどの爬虫(はちゅう)類などに襲われます。日本にいる最大のゴキブリである体長5センチのヤエヤママダラゴキブリですら、彼らに食べられているのをよく見ます。
ゴキブリの役割と言えば、他の生き物に食べられるほか、雑食性なことから『分解者』という役割を担っています。森のなかで落ち葉や動物のフンなどを食べ、そして分解することで、土に還します。いわば、森の新陳代謝機能として生態系を支えているのです。
そのため、ゴキブリは絶滅しろ!と言う人がいますが、彼らがいなくなるとさまざまな影響が出てしまい、人間も恐らく生きられないでしょう」
柳澤氏はゴキブリの役割について、「増えやすく雑食性なことから、さまざまな実験にも活用されている存在なんです」とも付け加えた。
意外にも我々の生活を支えてくれているゴキブリ。その生態やゴキブリの“面白さ”を解明すべく、柳澤氏は出張に出かけることも多々ある。
「もちろん研究室で机の上だけではわからないことがあるので、ゴキブリが数多く生息する南西諸島へ出張に行くこともしばしば。一週間かけて、たった1種の調査や採集を行うこともあります。
ちなみに日本においてゴキブリが一番多い島は、西表島です。日本には現在66種のゴキブリがいて、西表島にはその約半分の30種以上のゴキブリが生息しています。
研究は、色々な地域の人と組んで行なっています。今回のヒメマルゴキブリについては、台湾の方たちとの共同研究でした」