高齢母を無断で連れ去り…
「母が突然いなくなったあの日、これまで経験したことのないような恐怖と不安に襲われました。非人道的に母を連れ去った弁護士を到底許すことはできません」
そう怒りをあらわにするのは、60代の土井さん(仮名・男性)。現在、裁判所に母の成年後見人である弁護士の解任を求め、申し立てをしている最中だ。いったい何があったのか。
トラブルが発生したのは2024年6月28日早朝。マンションの一室で一人暮らしをしていた認知症を患う母(80代)が忽然と姿を消した―。
介護ヘルパーの女性からの連絡で慌てて勤務先を飛び出した土井さん。家族や警察官ら総勢7人で豪雨のなか、捜索を続けたが、母の姿は見つからなかった。
翌日、警察から「お母さまを連れ出したのは、成年後見人の男性弁護士だが、居場所は教えられないとのことです」と連絡が入ったという。
「成年後見制度」とは、「認知症、知的障害、精神障害などにより物事を判断する能力が十分でない方について、本人の権利を守る援助者(成年後見人)を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度」である。この後見人は本人の親族のほか、法律・福祉の専門家などの第三者も務めることがあり、契約などの法的行為を本人に代わって行なうことができる。
土井さんは母を連れ出した男性弁護士に強く抗議し、母の居場所の情報開示を求めたが、応じてはもらえなかった。母の携帯電話の電源も切断されていたため、土井さんは独自の調査を実施。母の居場所が判明したのは、その3カ月後。遠方にある高級老人ホームにいることが分かった。
「弁護士の行為は人権侵害を通り越して精神的虐待だと感じます」
そう憤る土井さん。さらに男性弁護士は後見人に就任後、ほとんど母に会いにくることもなく、預金口座を凍結して十分な生活費を渡していなかったことも判明。自宅に帰りたがる母だが、後見人の代理権はまだ弁護士にあるため、いまだに老人ホームでの「軟禁」状態が続いているという。