健康投資の具体的なリターン

健康への投資は、金融投資と同様にリターンを計算できる。世界保健機関(WHO)の「Health in All Policiesレポート」(2014年)によると、職場での健康促進プログラムに1ドル投資すると、医療費削減と生産性向上により平均約3ドルのリターンが得られるという。

米国のフィデリティ社による「Retiree Health Care Cost Estimate」(2021年版)では、健康状態が良好な高齢者は、健康問題を抱える同年代の人々に比べて平均して医療費が年間約200万円(18,000ドル、当時の為替レート)少ないことが調査されている。

たとえば、定期的な運動習慣を身につけるとしよう。月額1万円のジム会費を40年間払い続けると総額480万円になる。しかし、これにより生活習慣病のリスクが大幅に減り、医療費を年間20万円節約できれば、40年間で800万円の節約になる。差し引き320円のプラス、実質的なリターンは年率約4%という計算になる。

写真/Shutterstock
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さらに、健康状態が良ければ定年後も働き続けることができ、追加収入を得られる可能性もある。厚生労働省の調査では、65歳以降も働き続ける高齢者の多くが「健康だから」を理由に挙げており、健康な人ほど長期間にわたって収入を得続けることができている。

文/水瀬ケンイチ

『彼はそれを「賢者の投資術」と言った 水瀬ケンイチのインデックス投資25年間の道のり全公開』(Gakken)
水瀬ケンイチ
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1,760円(税込)
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