カミさんも一緒に転がっていくんですかね(笑)

「仕事の関係者の方々に迷惑をかけたことは事実です。でも、反省し心を入れ替えてると家族に誓いましたが、……俺の生き方自体を変えるつもりは、ありません」

迷惑をかけたことは皆に謝る。仕事の関係者には仕事で恩返しをしていく。そして家族には、大黒柱としての役割は担い続ける。けれども、「転がることは止めない」と断言する。

「でも、そんなゴロゴロ転がっている俺をずっと見続けてくれたカミさんは、転がる方向を微調整してくれている存在のような気もします。家庭をしっかり守ってくれてきたし、あの騒動があったにもかかわらず俺に対してハッパをかけてくれましたからね」

浮気発覚の記事が週刊誌に載るとわかり、土下座をした原田さんに、「まさに『原田、アウト!』だね」と言い放ち、結局許したという愛さん。夫婦の関係性は千差万別ではあるが、この妻の懐の深さに、夫としたら一生頭が上がらないだろう。

原田愛さんとの話も笑顔で語る原田龍二 撮影/山田智絵
原田愛さんとの話も笑顔で語る原田龍二 撮影/山田智絵
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件の不倫騒動が収まったころ、愛さんはなんと芸能界に復帰。10代のころはタレントやモデルとして活動していた経験を活かし「原田愛」として活動を始めた。

「あれはさすがにびっくりしましたね。しかも共演者の方に俺のことを突っ込まれても楽しそうなんですよ(笑)。子どもたちには『好きにすれば』と言われているし、どうなっていくものやら。カミさんも一緒に転がっていくんですかね(笑)」

転がる石のようにとらえどころのない原田龍二、そして原田家の皆さん。

「数年前、霊能者の阿部吉宏さんから譲り受けて、我が家に座敷わらしを迎えたんですよ。『みやこ』っていうんですけど。座敷わらしは居付いた家に幸福を呼ぶというし、実際なくしたものを探し出したりしてくれて、ありがたかったんですけどね。カミさんも『みやこちゃん、みやこちゃん』なんて見えないけど可愛がっていました。

我が家の居心地がよかったのか、3年くらい(座敷童は)いてくれたんですけど、長くいすぎると人間界に未練を持つようになって、人間の身体を欲しがって取り憑くようになるらしいんです。

それを聞いたカミさんが今度は怖がるようになっちゃって。結局この前、阿部さんに頼んであの世に成仏してもらったんですよ。一緒に仕事に行って、現場で活躍してくれたりとなかなか楽しい日々だったので、ちょっと寂しいんですよね。実際に見えたわけではなかったんですが」

原田家の人々と座敷わらし・みやこちゃんの、今後の関係がこじれないことを願うばかりだ。

後編では、8月に公開される主演映画『ハオト』への思いと、海軍将校を演じたゆえに改めて考えたという、独自の死生観について聞く。原田龍二の「メメント・モリ」とは。

PROFILE
原田龍二(はらだ・りゅうじ)●1970年10月26日生まれ、東京都出身。第3回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」準グランプリ受賞。1992年、ドラマ『キライじゃないぜ』(TBS系)で俳優としてデビュー。1996年、映画『日本一短い「母」への手紙』で日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。ドラマ、映画をはじめ、バラエティーや旅番組でも活動。主な出演作に、5代目佐々木助三郎役を演じたドラマ『水戸黄門』、『相棒』シリーズ、映画『一月の声に歓びを刻め』、『太陽とボレロ』、舞台『大奥』シリーズなど。

取材・文/木原みぎわ 撮影/山田智絵