映画主演のオファー、まさかのシリアスな内容にびっくり
“仕事は基本的には断らない。
群れない。
自分を曲げない。
でも人生には、贖(あがな)わない――。”
転がり続ける男、原田龍二。端正な顔立ちが特徴ながら、独特の存在として、さまざまな仕事が引きも切らないようだ。そんな彼がこのたび、太平洋戦争末期の精神病棟を舞台とした映画『ハオト』で主演を務めた。
「俳優仲間でもある監督の丈さんから直接『主演をお願いできませんか』とオファーがあって。『どうせ俺が主役なんだから、コメディとか、俺くらいしか受けないような変な内容かな?』と思っていたらシリアスな内容で。むしろそこにびっくりしました」(原田さん、以下同)
世界的にも軍事的緊張が高まる中、戦後80周年を迎える今夏に合わせ、劇場公開となる同作品。
片岡鶴太郎さん演じる解離性同一障害(多重人格)となった科学者や、預言者の男、未来人と交信しているという女性など、特異な人々が集う中、原田は戦争や軍を批判し統合失調症扱いをされた元エリート海軍将校の「水越」を演じている。
「シリアスな作品」と面食らったわけで、役作りなどに苦労はなかったのだろうか。
「兵隊としてのシーンはなかったので、役作りも特にしませんでした。ただ、『生き別れた弟と突然再会する』というシーンがあって、実際に弟(俳優の本宮泰風)がいる身としても体験したことがないので、多少不安はありましたね。
しかも、弟役の石田隼さんとは、撮影前に打ち合わせを一切せず、初めて会って数分後の芝居という状況でしたが、だからこそ適度な緊張感も生まれていい化学反応が起きたと思います」
共演者がベテラン揃いだったこともありがたかった、という。
「片岡鶴太郎さん、三浦浩一さんも、二重人格の役がすばらしかったです。特に預言者役の三浦さんの演技に惚れてしまいましたね。
鶴太郎さんとは、撮影の合間に演技の話は一切せず、アマゾンのヤノマミ族の話やシャーマニズム、心霊の話ばかりしていました。鶴太郎さんはヨガマスターですからね。俺と一緒で、精神世界がお好きなんでしょうね」