不倫を描いた名作も…恋愛名シーンBEST3
全国各地を舞台に描く朝ドラの魅力の一つが、なんといっても“方言”を駆使した恋愛シーン。今回は、半澤さんに歴代の朝を彩った“圧倒的方言がぶっ刺さる”恋愛名シーンBEST3を聞いた。
BEST3:ワイルドすぎ…壁をぶち破って告白した『ちりとてちん』(2007年度後期)
BEST3は、福井と大阪を舞台に上方落語家を目指すヒロインの生涯を描いた『ちりとてちん』第77回。貫地谷しほり演じるヒロイン・喜代美が、兄弟子・徒然亭草々(青木崇高)と結ばれるシーンだ。
同じアパートの隣室に住む兄弟子・草々と気持ちがすれ違ったまま、内弟子修行最後の日を迎えた喜代美。草々に向かって「あの壁の向こうで、草々兄さんが何考えとんのか、あの壁が邪魔で、なんも見えんのです」と言い放つ。
そして大晦日。除夜の鐘が鳴り響き終わった直後に、草々がアパートの壁を突如ぶち壊し、喜代美にこう告げる。
“今日からお前が俺の故郷(ふるさと)や”
「二人の間に立ちはだかる“壁”がついに無くなったということですが、それにしてもワイルドすぎますよね(笑)。この物語の大きなテーマになっている“故郷”という言葉を告白シーンに組み込んだのはとても秀逸でした」
BEST2:ヒロインの不倫を真っ向から描いた『カーネーション』(2011年度後期)
BEST2は、ヒロイン・糸子と妻子持ちの仕立て職人・周防(すおう)との不倫を描いた『カーネーション』第91回だ。北村(ほっしゃん。)の店の開店準備を終え、徹夜明けでソファに寝ていた周防(綾野剛)に対し、糸子(尾野真千子)が密かに抱いていた想いを吐き出すシーン。
“最後に言わせてください。好きでした”
それだけ言って去ろうとする糸子の腕を周防はとっさに掴み、ゆっくりと抱きしめると、
“おいもです。おいも、好いとった、ずっと”
と告白。
これまで可憐なヒロインが多かった朝ドラで、ヒロインの不倫を真っ向から描いたことで話題となったシーン。実はこれには裏話が…。
「実際にヒロインのモデルとなった小篠さんの不倫相手は、作中に登場する周防(綾野剛)と北村(ほっしゃん。)が合わさったような人だったと言われています。それを作中では2つのキャラに分離し、それぞれ付かず離れずっぽく描きつつ、周防という長崎出身の儚い男を作り出したのが、この脚本の凄さです。
コテコテの岸和田弁に囲まれながら、一人だけ寡黙でイケメンな長崎弁の男がいたら、そりゃみんな好きになっちゃいますよね(笑)。当時、ブレイク前の綾野剛を起用したことで『あの人誰⁉』とお茶の間に衝撃が走りました」