援助漬け
この事実はカラモジャの人々が援助漬けにされてきたことを象徴している。「カラモジャでは食べ物を作れない。未開で貧しく、時代遅れな人々が苦しんでいる」というエリートがよく口にする安直な先入観のもとで、緊急食料定期便が続いた結果がここにあると私は思った。
ある時は大量の食料を受け取り、またある時はその支援が不足し人々が飢える。カラモジャの飢餓は援助団体の「資金調達の道具」としてはとてもわかりやすい。
緊急支援はすぐに実施できて資金提供者に対する見栄えもいい。受益者リストだって、有力者と結託した行政が、数日もあれば家族・親類を総動員して詰め込んだいつものリストを用意してくれる。
援助関係者からすれば、こんなに簡単でおいしい話はない。むしろ、このままカラモジャが混乱し続ける─つまり人々が飢餓で苦しんでいる─方がありがたいという見方だってできる。
世界の縮図を映し出すカラモジャで、援助が怪物のごとく世代を超えて一人ひとりの精神に包摂されていく。この援助という渦に抗うために。埋め込まれた援助依存から脱却し、地域住民がその命と暮らしを自らの手で守ることができるように。今、自立支援が必要とされている。
激しい雨が降り始めた。これから本格的な雨季がやってくる。それと同時にフィールドへの未舗装路は悪路と化す。土の穴はより深く削られ、ぬかるんだ地面はところどころ浸食されて奇妙な凸凹を描き出している。それはこれから本格的にプロジェクトを進めていく私が向かう先を暗示しているみたいだ。
今後直面するであろう数々の困難に耐えながら、あの荒野に果実が実る日を目指して、私たちは少しずつ歩みを進めていく。このプロジェクトが、カラモジャにおける将来の平和に繫がっていくことを信じて。
文/田畑勇樹













