2018年から減り続ける「米国における在留邦人数」
統計を見てもこのことは明らかです。日本の外務省によると、2024年の米国における在留邦人数は41万4615人で、2018年の44万6925人から減り続けています。
たしかにドナルド・トランプ政権で日本人がビザを取得しにくくなったという問題もありましたが、そうでない2021年から2024年のジョー・バイデン政権下でも在米日本人は減っています。
新型コロナウイルス流行の影響で日本人が国外へ出にくい時期ではありましたが、アフターコロナになってもその数は戻っていないことを踏まえると、アメリカにおける日本人コミュニティは確実に縮小しつつあるといえます。
私が最初にアメリカに来た30年前、家電量販店「BEST BUY」に行くとテレビも冷蔵庫も洗濯機も日本製のものばかりでした。パナソニック、東芝、日立、三洋……。家電量販店に入ると、日本人であることを誇りに思いました。
オレンジ郡のエンゼルス・スタジアムの近くにある超高級モール「サウス・コースト・プラザ」のエルメス、シャネル、ルイ・ヴィトンの店に行けば日本人のセールスパーソンがいて、アメリカ人の店員も東洋人を見ると「コニチワ」と片言で話しかけてくれました。
かつては英語が喋れなくてもロスで暮らしていけた
さらにカリフォルニアでは日本の車が至る所で走っていました。かつてはトヨタ、日産、ホンダ米国本社がロサンゼルス郡トーランス市にあり、そこには大勢の日本人が住んでいました。日経新聞、朝日新聞、読売新聞などの新聞も配達されていました。
もともと日系人の中心的地域はリトル・トーキョーでした。しかしバブル期以降はトーランスに日本人が集まり、昔からの日系人とは異なる日本人、いわゆる「新一世」の中心的地域になっていました。そこは英語が話せなくても日本語で暮らせてしまうような場所でした。
その後日本が「失われた30年」を過ごす間にアメリカは大きく変わりました。日本の大企業は次々と北米本社をトーランスの外へと移し、羽振りのよかった駐在員の数も減っていきました。
今、家電量販店「BEST BUY」に行くとテレビも冷蔵庫も電子レンジもサムソンやLGなど韓国ブランドばかり。日本製品は隅に追いやられています。
2000年代になると、ロサンゼルスで韓国系コミュニティが目立つようになりました。朝鮮戦争の後、家族で移住してきた韓国人がロサンゼルスに大きなコミュニティを形成したのです。
弊社MIWの調べでは、コリアン・タウンの実質的な面積はリトル・トーキョーの約10倍以上にまで膨れ上がりました。さらにK‐POPが流行し、韓国コスメが一般量販店でも販売されるようになりました。
以前日系人が経営していたクリーニング店、レストランなどの経営権も韓国系に移っていき、「サウス・コースト・プラザ」でも韓国人のセールスパーソンが増えました。お店に行くと「アンニョンハセヨ」と声をかけられるようになったのです。