山尾氏を直撃「私も選挙5回目で沿道の反応にはそれなりに敏感なんですが…」 

いっぽうで私立中学の受験生が8割強を占める都内の公立小学校に6年生の息子を通わせる母親は、そうした子がいる可能性があるとも指摘する。

「6年生だと公民も習うせいか最近やたら息子を怒ると『基本的人権が~』と言ってきますね(笑)。『選択的夫婦別姓』とかそういう言葉は知らないけど、天皇制は少し興味があるようで、自分でネットで調べてますね。

息子の学校で高学年はタブレットを使った授業が当たり前で、宿題もパワポで資料作るからパソコンやネットに触れる環境だし、暇さえあればYouTubeも見てます。それこそ今、選挙中だからかウザイくらい政治家の動画が流れてくるじゃないですか。中身がわかってなくても洗脳されることも十分あると思いますよ。

あとウチの子は受験対策でテレビもニュースを結構見させてますね。自然と興味がわくことはあるかもしれません」(小6男児の母親)

同じ小5の男児を持つ40代の母親も近い意見だ。

「息子は最近YouTubeで弁護士の動画ばかり見て、法律にすごく詳しくなってきたんです。家でも『それって違法じゃない?』とか『民法ではこうだよね』なんて話をよくしています。

もし政治に関心が向いていたら、今回の子と同じような発言をしていた可能性もあると思います。親としても驚くような知識を持っていることがあるので、一概にあり得ないとは言えないと思います」(40代母親)

騒動が大きくなった10日の夕刻。関東を襲ったゲリラ豪雨にも負けず目黒駅前で選挙カーの上に立った山尾氏は「わたし、東京選挙区、嵐を起こすかもしれないと報道されてまいりました。その予兆かと思います」とツカミを入れながら、雷鳴が響く中、ズブ濡れになって女性天皇の実現を訴えた。

山尾志桜里氏(撮影/集英社オンライン)
山尾志桜里氏(撮影/集英社オンライン)

「皆さん、考えてみてください。お嫁に行って男の子を産まないとその家が途絶える、そのプレッシャーが女性にとってどれだけ辛いものか。そして、それが一般の家庭じゃなくて皇室だったらどんなに苦しいか。そんな苦しい思いをさせ、そしてこの国で皇位を継承することがほとんど不可能な制度、私たちでちゃんと変えましょうよ」(山尾氏)

さらに第二の公約である憲法9条改正による自主国防の確立を紹介しながら「この2つの問題はどの政党も票にならないと思って選挙の時には引っ込めます」と既成政党の姿勢を批判。

国民民主党が山尾氏に対し、過去の不倫報道問題を背景に参院選比例代表の内定を選挙直前に取り消したことにも言及した。「私は取り消しを受けて、結果として無所属になって本当に良かったと思ってるんです」とも言ってタンカを切ると、土砂降りの中で声援を送っていた数人から拍手が上がった。

雨の中、演説をする山尾氏(撮影/集英社オンライン)
雨の中、演説をする山尾氏(撮影/集英社オンライン)

雨上がりの11日、北千住で演説に立った山尾氏に“小5男児”のことで取材を求めると、「あの男の子のことはこれ以上記事にしてほしくないので…」と暗い表情で拒んだが、女性天皇を含む公約への反応については思うところを語った。

「私も選挙5回目で沿道の反応にはそれなりに敏感なんですけど、本当に多くの女性のかたに広がっていると感じます。

女性天皇というテーマの下に『女性を生きやすい社会にしてほしい』っていう地鳴りみたいなものが女性の声になって現れてる気がするんです。

男尊女卑の世の中でいろんなものあきらめてきたとか、男の子産まなきゃっていうお家のプレッシャーが今も実はあってとか。でもそれを言うと非難を受けるから誰かにおかしいって言ってほしいという女性と、男尊女卑の国でいい国になるわけないっていう男性の声も、地響きのように感じます」(山尾氏)

道路を挟んだ人たちにもビショビショのまま大きく手をふる(撮影/集英社オンライン)
道路を挟んだ人たちにもビショビショのまま大きく手をふる(撮影/集英社オンライン)
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騒動を糧に、女性天皇議論に一層目が向くか――。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班