バズるための行為も過激に

SNSの発達によって、異物混入が以前よりも可視化された一方で、話が大きくなりすぎてしまう側面もある。

「現在の飲食店業界は個人店が減少し、チェーン店が増えています。このため、すき家のとあるひとつの店舗で起きた出来事であっても、『すき家全体の問題』と捉えられてしまう傾向があります。

昔であれば『あの店でネズミが出た!』というローカルな話で済んでいたかもしれません。それで近隣住民の足は遠のいても、遠くから来る客にはほとんど影響がなかったでしょう。しかし現代では、実際には一店舗の問題であっても、全国の店舗すべてが同じような問題を抱えているかのように見えてしまう。

つまり、イメージダウンがチェーン全体に波及するのです。そういう意味で、今回のケースは言葉は悪いですが、“バズる”条件があまりにも整いすぎていたという気がします」

SNSで拡散されていた「すき家」のネズミが混入したみそ汁
SNSで拡散されていた「すき家」のネズミが混入したみそ汁

SNSでも「すき家にネズミが混入しているなんてありえない。客側の自作自演行為ではないのか?」という声が上がった。

「今年に入って起きた異物混入が自作自演だったのかどうかという点はさておき、これは今後、自作自演になり得る話だと思います。今やSNSを使っている人にとっては『バズらせなきゃ』という意識が多少なりともあるでしょう。

その行き着く先が、醤油ボトルや湯呑みを舐めて元の場所に戻す迷惑動画が拡散された『スシロー迷惑動画事件』や、くら寿司で皿を戻す投入口に開封済みの避妊具を置いたという事件です」

また、フードデリバリー大手「出前館」が届けた商品の袋の中に、生きたネズミが入っていたという事件もあった。これも結局、混入経路は特定できず、誰がやったのかは不明なままだ。