日本の音楽界のターニング・ポイントだった
その後もアン・ルイスとラッツ&スター、山下久美子と白井貴子、チューリップとつのだ☆ひろとブレッド・アンド・バターとチェッカーズなど、様々な共演が会場を沸かせた。
後半では12年ぶりにして1度きりのはっぴいえんど再結成が実現し、続いて1夜限りのスーパーバンド、サディスティック・ユーミン・バンドが登場。
元ザ・フォーク・クルセダーズの加藤和彦を中心として、1971年に結成されたサディスティック・ミカ・バンドが解散したのは1975年のことだった。
そのメンバーを中心に、松任谷由実と坂本龍一を加えて復活したこのバンドは、それぞれのナンバーをメドレーで演奏すると、サディスティック・ミカ・バンドの代表曲『タイムマシンにお願い』、それから小田和正と財津和夫も加わって『今だから』を披露した。
トリに抜擢されたのは、佐野元春 with the Heart Land。国際青年年のテーマソングでもある『Young Bloods』をはじめ3曲を演奏したところで、シークレットゲストとしてサザンオールスターズが登場。洋楽カバー・メドレーや『夕方 Hold On Me』を熱唱した。
そして最後は総勢100名ほどの出演者全員で、この日のために作られた『ALL TOGETHER NOW』を歌って幕を閉じた。
このコンサートは全国の民法ラジオで放送され、多くの若い世代のもとへと届けられた。
それから28年後の2013年。当時の音源が見つかったことから、“ラジオ再価値化プロジェクト”の第1弾として、同コンサートを音源とともに振り返る特別番組が放送された。
その番組内で、コンサートの先導役の1人だった吉田拓郎は「決して皆が皆、横でつながっていたわけではなかった」と話している。それでもコンサートのために何かやろうという前向きな気持ちとともに、数々の共演が実現したのだという。
「まあ思い出深い、今じゃちょっと考えられないぐらい、あらゆるジャンルで音楽をやってるビッグネームな人たちがよくこんだけ集まれたなと。今では奇跡に近いくらい夢のようなコンサートだったなと思い出しますね」
また、プロデューサーの亀渕昭信は、のちにインタビューでこう振り返っている。
「僕にとっては自分でブッキングを担当する最後の仕事だと思っていました。あのイベントは確かに日本の音楽界のターニング・ポイントになったと思いますが、ちゃんと次の世代を担うべき、サザンオールスターズ、佐野元春さん、チェッカーズも出演していたことが、今振り返ると良かったと思います」
このイベントで、大瀧詠一、細野晴臣、鈴木茂、松本隆の4人によって、12年ぶりにはっぴいえんどが再結成するに至ったのも、亀渕が大瀧のもとを訪ねたのがきっかけだった。