「『警視庁の安全課の者』を名乗る、末尾が110の番号から突然電話がかかってきて…」

警察官をかたり、「逮捕状が出ている」などと不安をあおり金銭を送らせる「ニセ電話詐欺」は、昨年後半から急増している。

警察庁によれば、今年1月から3月だけで全国で約2000件の被害が確認されているという。警察官をかたる詐欺の被害額は、電話詐欺全体の6割以上となる約171億円にのぼっている。

竹内さんがその電話を受けたのは、4月28日の16時すぎのことだった。

取材に応じる竹内さん(撮影/集英社オンライン)
取材に応じる竹内さん(撮影/集英社オンライン)
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「末尾が『110』の番号で、『警視庁の安全課の者ですが、あなたが詐欺事件に関与した疑いがあります。署まで来てほしい』と言われました。私は19時に友人と会う予定があったので『今日は行けない』と言うと、私の本名と現住所、さらに過去に住んでいた住所まで言われ、『身の潔白を証明してもらわないと“書類送検”することになる』と言われました」

じつは、筆者もこの手の詐欺電話がかかってきたことがあり、30分ほどニセ警察官の電話の相手をしたことがあるので、流れは大体わかる。竹内さんもほぼ同じ流れだった。

竹内さんにかかってきた、末尾が110の電話番号(画像/竹内さん提供)
竹内さんにかかってきた、末尾が110の電話番号(画像/竹内さん提供)

芸名ではなく、本名と現住所と過去の住所まで当てられたことで、半信半疑ながらも真摯に応じてしまった竹内さんは、その後“個室に移るように”と指示をされる。そして品川駅の港南口にあるカラオケボックスに入った。

その個室内で“警視庁の安全課の者”から“捜査2課のハヤシダ”を名乗る男に電話が引き継がれ、さらにやり取りはLINEのビデオ通話に移行することに。

「ハヤシダを名乗る男は『逮捕状を送るのでLINEに切り替える』と言った後に、教えてもないのに私のLINEに逮捕状を送ってきました。そしてビデオ通話に映った人物は警察官のような水色のシャツを着ていて、警察手帳を提示してきました。帽子はかぶっておらず、34、35歳くらいのごくフツーの男性という感じでしたね」

LINEで送られてきた“逮捕状”(竹内さん提供)
LINEで送られてきた“逮捕状”(竹内さん提供)