郵便事業は2期連続で赤字 

日本郵便は点呼の不備がまかり通っていた要因のひとつとして、「郵便局管理者において適正な点呼が行われているかを管理する意識が希薄であったために、現状の把握が疎かになった」ことを挙げている。

つまり、郵便局の局長も問題の一端を担っていることが明らかになっているのだ。しかし、マスコミをシャットアウトして行なわれた総会では騒動に対する公式な謝罪はなく、郵便局を維持することの意義を強調することに終始していたようだ。

650億円の公的資金が投入されることが決まれば、中長期的に全特が守られることになる。日本郵便は大胆な改革や効率化が必要とされているにもかかわらずだ。

日本郵政の郵便・物流事業は2024年3月期に688億円、2025年3月期は10億円の黒字を計画していたものの、383億円の赤字を出している。これで2期連続の赤字である。

2025年3月期の郵便の取扱数量は前期の7.5%減となっており、2024年10月の郵便料金改定による増益効果を打ち消すほどの数量減少に見舞われているのだろう。「ゆうメール」や「ゆうパケット」の取扱数量は2ケタ増となっているからだ。年賀状文化が薄れ、請求書などのデジタル化が進む中で郵便物の数量が回復するとはとても思えない。

世界的に見ると郵便サービスは転換期を迎えている。デンマークの国営郵便サービス「ポストノルド」は2025年末にすべての手紙の配達を終了すると発表している。今年6月から郵便ポストの撤去に着手するという。デンマークは、政府や公的機関からの通知をポータルサイトやアプリを使って受け取るデジタルポストを推進するデジタル先進国のひとつだ。

時代に合わせた郵便に変革を進めるデンマークの「ポストノルド」
時代に合わせた郵便に変革を進めるデンマークの「ポストノルド」

オランダでも郵便配達の頻度の縮小が議論されており、ドイツの郵便局「ドイツポスト」は8000人を削減する改革案を発表した。

一方で、効率化が進まない赤字続きの日本の郵便局は、公的資金を得て生きながらえる準備を整えているというわけだ。