それでも“コメ”の出品禁止にはならない理由

メルカリはこの対応について、《マーケットプレイスの基本原則に照らし合わせ、出品を禁止することといたしました》と説明。ジモティーはより明確に《生活に不可欠な物資の円滑な流通を妨げる恐れのある行為や、不当な価格での転売による混乱を未然に回避することが、サービスの健全な運営に不可欠であると認識しております》と理由を述べている。

ここで注意したいのは、「米そのものの出品」が禁止されたわけではなく、あくまで政府が放出した備蓄米の出品のみが禁止対象となっている点だ。

なぜ“コメ”そのものの出品は禁止しないのだろうか。これから禁止にすることも考えていないのか。

この点について尋ねると、ジモティーの担当者からは、《弊社は「地域の情報を可視化すること」を基本理念としており、個人間の健全なやり取りはその理念に沿うものと考えております。食品に関してはガイドラインを設けており、これにあたらない出品は可能となっております》という返答があった。

昨年から続くコメの価格高騰については、具体的な要因がいまだ明らかになっていない。そうした中、「まずは目に見える転売行為を取り締まるべきだ」との声がネット上では根強く、今回の件ではフリマサイト各社の対応に注目が集まっている。そして、政府備蓄米の出品禁止措置については、一定の評価を獲得した。

しかしそんな中で、他の商品に対する対応との差が新たな波紋を呼んでいる。6月5日に発売された「Nintendo Switch 2」だ。発売元の任天堂の徹底した転売対策は高く評価され、転売撲滅について期待の声が多く上がっていた。

都内の家電量販店・ゲーム売り場(撮影/集英社オンライン編集部)
都内の家電量販店・ゲーム売り場(撮影/集英社オンライン編集部)
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これに合わせて、ヤフオクとYahoo!フリマでは「Nintendo Switch 2」の出品を禁止して転売を防ぐ努力を見せたが、楽天フリマやメルカリなどでは発売日からさっそく転売が相次いでおり、6月6日時点でも目立った対策は取られていない。

これにはネット上では落胆の声も多く上がっている。

《備蓄米は出品禁止にできたんだし、こういうのも禁止にして欲しい》

《switch2や備蓄米を規約の改訂程度で簡単に禁止にできるなら転売や偽物対策を真剣にやってきたとは思えないのよね》

《備蓄米の転売は禁止できたのになんでSwitch2の転売は禁止しないんだろ。意味不明。任天堂の努力の意味……》

《備蓄米は対応できるのにswitch2できないわけないし、メルカリさんひどいんよ》

備蓄米、ゲーム機、マスク——。何が転売として不適切で、どこまでが自由な個人取引なのか。その線引きは、今後ますます重要なテーマとなるだろう。

取材・文/集英社オンライン編集部