「お礼は言うけど、気負いすぎたくない」

一方で、病院に勤務する20代の女性は、クリニックの院長(60代)に食事をごちそうになる機会が多いという。

「会計のときには必ずお礼を伝えますし、そのあとLINEで一言添えることもあります。会食はクリニックの休診日前日に開かれることが多いので、翌日に院長と顔を合わせることはあまりないんですけど、後日会ったときには挨拶のついでにサラッと伝えるようにしています。

今後の関係性を考えても、お礼はあったほうがいいと思いますし、単純に言われたら嬉しいだろうなと」

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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クリニック内では20代〜30代の女性が多いそうだが、他の人はどうしているのだろうか。

「スタッフは7人くらいいますが、そのなかで後日あらためてお礼を言っているのは、私を含めて3人くらいですね。院長自身が“会食が好き”“飲むのが楽しい”ってタイプなので、職場全体として“楽しく飲む場”という空気が強くて、お礼を“当然のマナー”として求めている感じはしません。

だから、後輩が何も言わなくても注意されるようなこともないし、そもそも会食に参加しない人もいます。

私自身も、最初の頃はおごってもらうことにすごく申し訳なさを感じていましたし、気を遣いすぎて楽しめていなかったんですが、院長と関係性が築けてからは、自然に楽しめるようになっていきました。

お礼をどうするかって、“その人のスタンス”と“どれだけ関係性ができているか”が大きいと思います」

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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かしこまりすぎず、でも失礼はしたくない──そんな微妙な距離感の中で、若い世代は“お礼”のバランスを模索しているようだ。