子ども時代、生死をさまよってイレギュラーな人間に

––––新刊『愛玩哲学』を出されて、周りの反応はいかがですか?

くっきー!(以下同) 本が出てすぐ女優さんとかにも配ったんですけど、次会ったら「今やっと半分読めました」って。

若い人は知らんことすぎてたとえば、「ハンドル絞る」って何? みたいな、一回調べてから読む感じになるみたいです。だから箸(ページ)が進まんというか。

まぁオレの経験値とか脳ミソの話なんで理解されてもされへんでもどっちでもいいんですけど、同世代(昭和50年代前後生まれ)の男性はドンズバじゃないですかね。なんなら同級生とかは火柱上げているんじゃないですか。

三人兄弟の真ん中。兄と妹に囲まれる
三人兄弟の真ん中。兄と妹に囲まれる
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––––確かにキン肉マン消しゴム(キン消し)、ラジコン、エアガンなど、当時の男子が夢中になった昭和カルチャーが満載ですよね。
くっきー!さんの言語感覚がまた独特で。文章というよりラップや詩の感覚で読んじゃいました。

好きでなんです、そういう言い回しが。でも考えているわけじゃなくほとんど思いつき。子どものとき、熱射病になって太陽の恵みを受けてからこうなりました。

––––太陽の恵み!?

小3か小4の夏休みに親父がいきなり「家の庭の畑に日本刀が埋まってる」って言い出して。ウソか本当か知らんですよ。親父は「地球は卵形で平たいから人が立てる」とか、どっかで買ってきた小さいワニの剥製を「オレがガキの頃に飼ってたワニやから大事にせよ」とか、ウソがだいぶ多くて変な人でしたから。

でも当時は他の親を知らないので、自分の親がヘンかどうかわからないし、とにかく刀が見たいから夏休み全部使って、めっちゃ掘りまくりまして。

そしたら、ぶっ倒れて3日間昏睡状態。意識戻ったあとも脳波がおかしくなっていて肛門が締められなくなり、しばらくオムツ生活でした。

–––– 一歩間違えたら死んでいた?

じゃないですか。しかも結局、刀なんかないし、ハンガーすら出てこなくて軽く地層が見えたくらい。でもそれ以来アホになった。

それまでスタンダードな子だったけど完全にイレギュラーな人間になりましたね。世の中の常識をスカす非道徳的な芸風は、そこから来ているかもしれません(笑)。