何もできなくなったら「山の中で1人で死のうかな」
――自給自足の生活を送る中で、どんなものを食べていますか?
ゆにさん 家では、レタス、大豆、ジャガイモ、ネギ、ニラ、スナップエンドウ、カブ、ニンニクなど様々な野菜を40種類ほど育てていて、それらを使って毎日のご飯を作ってます。
また家で飼っているニワトリは放し飼いで、卵を産むだけでなく、庭の雑草や害虫を食べてくれるありがたい存在です。増えすぎたり弱ったりしたときに鶏肉として捌くこともあるため、名前はつけていません。
――お米も自給しているとのことですが、最近の米不足について何か思うことはありますか?
ゆにさん 私たちの地域では、農家でなくても自分たちの食べる分は自分で作るという考えの方が多くいらっしゃいます。私たち以外にも、自給用のお米を当たり前のように作っている方がいるんです。
農家さんに任せきりにするのではなく、「自分たちの分くらいは自分で作ろう」という考えの人が1人でも増えれば、お米不足といった問題も起こりにくくなるのではないかと思います。
――この生活をやめたいと思ったことはありますか?
ゆにさん 今のところありません。ただ、農作業など毎日やらなければいけないことがたくさんあって、そのルーティンを続けるのは大変だと感じることはあります。
でも、自然の中で暮らしていると、新しい発見や変化が常にあるので、それに目を向けていると意外と飽きないんです。そういうちょっとしたご褒美があるからこそ、「これからもこの生活を続けていきたい」と思えるんだと思います。
余一さん 僕も、この生活をやめたいと思ったことはありませんね。楽しいからこそ、今も続けていられるんです。
この先、年を取って体が動かなくなり、何も生産できなくなったら、そのときは1人で山へ行って、山の中で死のうかなと思っています。野生動物は、エサを自分で取れなくなったら、自然と命を終えていくものです。
なるべく自分も、それにならいたいという気持ちがあります。
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記事後編では、これまで幼稚園や保育園に通っていなかった息子・たいちくんが、この春から小学校に通い始めたことについてインタビュー。もし、たいちくんが「自給自足生活をやめたい」と言ったらどうするのか。たいちくん本人にも話を聞いてみた。
〈後編へつづく『“自給自足”生活を送る3人家族の息子が小学校へ…「子どもがかわいそう」の声も、両親と子どもが語る幸せのカタチ』〉
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班