夫の死の翌月、「今月末でアパート解約したけん」と押しかけてきた姪

──夫である叶井俊太郎さんを膵臓がんで亡くされた後、姪御さんと暮らされているそうですね。同居の経緯を教えてください。

倉田真由美(以下同) 
夫ががんを公表したのは昨年9月ですが、一昨年には余命半年と告げられていて、昨年8月からは入院生活を送っていました。その頃から姪に「私が一緒に住んじゃるよ」と言われていて、でもまさか本気だとは思わないですよね。ところが次に話したときにはもう「今月末でアパート解約したけん」って完了形で。結局、3月下旬から一緒に暮らしています。現在は中3の娘と23歳の姪と3人暮らしです。

──2月に叶井さんが亡くなった後すぐだったんですね。

夫は明るくてマメで育児にも積極的だったので、彼の存在はやはり家の中で大きくて。自分でもこんなに引っ張るとは思っていなかったのですが、なかなか光が見えてこないです。一昨年に亡くなった父のときも悲しかったですが、夫となるとここまでショックを受けるのかと。日々、彼の存在の大きさを感じています。

そういった喪失感を姪の存在が埋めてくれている部分はありますね。私や娘はあまりおしゃべりではないのですが、夫と同じでおしゃべりな姪がいることで会話が生まれたりもするし、家がにぎやかになりました。姪の明るさには救われています。

姪はたまにしか、うちで晩ご飯を食べないのですが、少しでも食事を出すのが遅れると、娘と2人して「育児放棄だ!」と騒いだりして。娘と姪が共闘するのでお母さんは仕方なく従っています。ほんとに図々しくて可愛いですよ(笑)。

明るいくらたまさんだが、ときおり涙ぐむことも
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──娘さんにとってもよかったのかもしれないですね。

歳の離れたお姉ちゃんができて喜んでいます。ただ、夫のことに関しては娘は意外なほど気にしていないですよね。寂しがってはいますが、亡くなってすぐにお風呂から鼻歌が聞こえたりして、屈託がないんですよね。部屋に安置してあった骨壷の置き場所を変えたときも「あれ、父ちゃんどこ行った?」なんて。私はそれを聞いて泣きそうになって、自分ひとりがメソメソしているような気がしました。

娘は夫が病気になってから1度も泣かなかったんですよ。あっけらかんとして、末期がんを宣告されたというのにそれを公表前からみんなにべらべらしゃべってて(笑)。そういうところは父親に似たんですね。