「現代人は気づかないうちにいろいろな力を失っている」

――自給自足生活を始める前、お二人はどんな生活をしていたんですか?

余一さん
 大学卒業後は、ほぼずっとフリーターとして暮らしていました。ダンサーをしたり、デザイン関係の仕事をしたり、ラジオのパーソナリティーをしたり…。いろいろなことをしていましたね。

ダンサー時代の余一さん(写真/余一さんYouTubeチャンネルより)
ダンサー時代の余一さん(写真/余一さんYouTubeチャンネルより)

ゆにさん 私は北海道札幌市の出身で、高校卒業後は東京で10年間暮らしていました。その間、着物の販売や着付けを通して、着物を普及する活動を仕事にしていたんです。

もちろんその頃は、電気・ガス・水道が整ったごく普通の生活をしていて、今のような暮らし方があるなんて、想像すらしていませんでした。

――自給自足生活を始めようと思ったきっかけは?

余一さん
 あるとき、「昔の人はみんな自給自足で暮らしていたんだよな」と思うようになったんです。

現代はとても便利な世の中ですが、その便利さの裏で、気づかないうちにいろいろな力を失っている気がして……。「人間はこのままでいいんだろうか?」という危機感のようなものがあったんです。

ゆにさん 私は着物関係の仕事をしていたこともあり、着物の染めや織りといった伝統工芸の工房を見学するために、地方へ行くこともありました。そうした場所では、昔ながらの手仕事を大切にした暮らしが営まれていて、職人さんのお話や生活の様子に触れるうちに、日本の田舎暮らしに惹かれるようになりました。

自分自身も、衣食住をもっと自然なものへと切り替えていけたらいいなという思いが芽生え、そこから自給自足に興味を持ち始めたんです。

用水路の水(写真/本人提供)
用水路の水(写真/本人提供)

――現在の仕事や収入源は?

余一さん 
僕は御用聞きと言って、地域の方のお困りごとを解決する仕事をしています。終活されているかたの家や小屋の片付けやゴミ出し、庭や畑の草刈りなど依頼があればいろいろなことをしています。

ゆにさん 私はインフルエンサーとしての活動やオンライン講座が主な収入源です。

――ご近所付き合いはどうしていますか?

ゆにさん
 余一さんが御用聞きの仕事をしている関係で、ご近所に知り合いが増えました。みなさん温かく見守ってくださっていて、ぐいぐい距離を詰めてくるようなかたや、何か言ってくるようなかたはいません。みなさん、応援してくださっているように思います。

子どもが小学校に入るまで保育園などに通っていなかったこともあり、私自身は地域の方と交流する機会が少なかったのですが、SNSを通じてリアルでも仲良くなることが多いです。

私がSNSで発信していることをきっかけに繋がったかたと、実際にイベントなどでお会いすることで、自然にご縁が繋がっていくような感覚です。

インタビュー中のゆにさん(左)とたいちくん(右)(写真/集英社オンライン)
インタビュー中のゆにさん(左)とたいちくん(右)(写真/集英社オンライン)