女性の性欲は「死ぬまで」って本当?
有名な話ですが、江戸の名奉行・大岡越前守が、不貞を働いた男女の取り調べをしていたとき、「女性からの誘いに乗ってしまった」という男側の釈明にどうしても納得がいかなかったので、自分のお母さんに「女性はいくつまで性行為が可能か」と聞いたところ、彼女は黙って火鉢の中の灰をかき回し、小さい声で「灰になるまで」と言ったそうです。
真偽のほどはともかくとして、女も年をとってからもいつまでも性欲があるという、ひとつの逸話としてはおもしろいですね。
男も女もいつまでも性欲があるのは恥ずかしいことではありません。食べることや眠ることと同じで、ごく自然のことですから。
他人を困らせたり警察の厄介になったりしなければ、欲望に忠実に生きてもいいと思います。特に閉経後の女性は妊娠の心配もないわけですから、もっと奔放に楽しんではどうでしょう。
作家の佐藤愛子さんの作品を映画化した『九十歳。何がめでたい』が2024年に公開となりましたが、その主演を務めている草笛光子さんにしても、あるいは70歳のときにひと回り以上年下の男性と恋をして、その顛末を『わりなき恋』という私小説にして発表した岸恵子さんにしても、女性たちの憧れの的な存在ですよね。
年を重ねてもこんなふうにかっこいい、美しい女性でいたいとみんな思うわけです。
107歳で亡くなった女性報道写真家第一号とされている笹本恒子さんも、意欲的な女性の典型と言うべきでしょうか。
このように、女性には自分の人生のお手本になるような人がいっぱいいるのです。
意欲的な女性ということに関して、主に50代以降(「ハルメク世代」と呼んでいる)の女性をターゲットにした「ハルメク」という月刊情報誌があります。
内容はファッションを主としたものですが、あらゆる年代向けの女性誌のなかでも発行部数は国内最多の50万部を超えて、「週刊文春」や「女性セブン」よりもはるかに売れています。
この例からも、女性というのは年齢を重ねてもファッションに興味があるし、人とのコミュニケーションにも積極的で意欲的だということがわかります。
今は女性が支持する商品でなければヒットしませんから、これからは女らしい女の出番です。
ファッションだけでなく性に対しても欧米の女性たちは積極的で意欲的ですが、性の問題に関しては、日本の女性はたち遅れていると思います。
ジェンダーフリーやSDG s(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)などスローガンは海外から一早く取り入れるのに、たいていねじ曲がった方向に行ってしまいます。
私は日本の女性たちに、「性に対してもっと積極的かつ意欲的であってほしい」と言いたいです。
文/和田 秀樹