県は容疑者不詳のまま地方公務員法違反容疑で県警に告発状を提出

結局、委員会の調査報告書は、提出から約1カ月半たった5月13日に一部が公開され、委員長を務めた工藤涼二弁護士らが記者会見を開いた。

報告書や工藤氏らによれば、委員会は立花・丸山両氏が拡散した4つのデータは県が保有するAさんの個人情報データと同一であると判断し、県からの流出を確認した。文春が報じた音声データを含む6件の資料もいずれも県内部資料と確認した。

その上で、これらデータや資料の提供行為が「公益通報」には当たらないと結論づけた。公益通報者保護法が定める公益通報は、刑法が定める罰則規定がかかる犯罪など限定した問題行為に関する告発をいい、今回の提供はこの要件を満たしていないと第三者委は説明した。

「もし今回の情報提供が公益通報に該当するなら、情報元を捜すことは違法になるため、まず公益通報でないかを委員会は判断した形です」(県政担当記者)

昨年11月16日、出馬した兵庫県知事選で街頭演説する立花孝志NHK党党首(撮影/集英社オンライン)
昨年11月16日、出馬した兵庫県知事選で街頭演説する立花孝志NHK党党首(撮影/集英社オンライン)

公益通報に当たらないとみなした第三者委員会は情報の漏えい元捜しに入ったが、セキュリティシステムに脆弱(ぜいじゃく)な部分があるのを発見したものの、漏えい経路も特定できなかったことを会見で明かした。

これを受けて県は、容疑者不詳のまま地方公務員法違反(守秘義務違反)容疑で13日に県警に告発状を提出した。

「立花氏らの(Xの)ポストにある文書は県人事課が保管するデータと見比べればおおよその真偽はすぐにつくはずです。結局、漏えい元捜しもできず、立花氏らのポストから5カ月以上時間をつぶしてようやく5月13日に刑事告発が行なわれました。

ところがそこに、文春の情報源捜しも加えてきたのです。報道もSNS発信もいっしょくたにして外部への通報は徹底的につぶすという斎藤知事の意向がみられます」(県議会関係者)