マッチングアプリで「自分にも需要があるんだ」と感じた69歳
もうひとり話を聞いた女性は50代前半で早々に離婚後、女性向け風俗(通称、女風)の利用を経てアプリでお相手探しを始めた都内在住でフリーのエンジニアの相沢さん(仮名、69歳)だ。
「離婚して5年ほどで、ふと自分に性的な欲求があることに気づいて。当時、女風ってキーワードをよく見るようになったんです。それで思い切って利用し、1年間ほど利用してました(笑)。でも、やっぱりお金を介さない交際相手を見つけたいと思い、4年ほど前にアプリを始めました」
アプリを始めてまず驚いたのは「お相手探しは難航すると思っていたのに、すぐマッチするし(メッセージを送り合う仲になること)、すぐ対面で会えること」だそうだ。これには「自分にも需要があるんだ」と感じ、嬉しかったという。
「最初は同年代の方とお会いしましたが、そのうち40歳も年下の20代の子と会ったこともあります。それは会ってその日にするっていう、いわゆるヤリモクだったこともありますが、今となってはそれもいい思い出(笑)。でも肝心な、ちゃんとお互いに長く続く関係を望む人がいない…」
なんでも現在、2年ほど付き合う男性とは昨年から肉体関係がなくなったのだそう。
「彼から『君とは“恋人関係”というにはちょっと違う。でも食事は一緒にしたい』とハッキリ言われました。彼はお洋服にこだわりのあるオシャレな人で話も合ったから、とても残念だったのですけど…」
相沢さんは、アプリによる最大のメリットは自分が求める恋人像や自分が欲しているものが何かがより見えてきたことだ、という。
「私はお洋服やインテリアにも何かしらこだわりのある人と美味しい食事を楽しみつつ、セックスも相性がいい人を欲しているんだと。最近は探すのもなんだか疲れちゃって、よくいう“アプリ疲れ”というやつなのかも。でもいつかは見つけたいなとは思います」
アプリは場所や時間を選ばずお相手探しができ、自分とお相手の都合を擦り合わせさえすればすぐに出会える便利なツールだ。それゆえに、前出の増田さんのように性感染症のリスクもあるし、不同意性交罪にも発展しかねないトラブルもあとを絶たない。
昨年、集英社オンラインでも取り上げた、名古屋を中心に発生した50代男性によるアプリを介した大掛かりな結婚詐欺事件もそのひとつだ。
名前や職業を偽り、アプリで知り合った女性に近づき、結婚をほのめかした上でお金を騙しとるというこの事件。被害女性の中には、1億円以上をだまし取られた人もいるという。
いくつになっても、ときめく心や性的欲求を満たすことは人生には欠かせないが、くれぐれも慎重な利用を心がけたい。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班