過去の経験が活かされた、週刊誌記者の演技
――今回主演を務めた「Scooper」で、阿部さんは新人週刊誌記者役を演じています。まずは率直な感想をお聞かせください。
阿部顕嵐(以下、同)いちばん感じたのは、自分とは立場などがまったく正反対だということです。ただ、役として体験してみると、仕事として純粋に楽しい一面もあるのだと強く感じました。
たとえば、スクープが撮れる瞬間。あれは演じていて本当に楽しかったですし、もし自分が本物の記者だったら、絶対に気持ちいいだろうなと思いました。
先ほどは「正反対」と言いましたが、この世界とは実はかなり密接な場所で生きているとも感じました。だからこそ、“リアル”を追求して演じようと、撮影に臨みました。
――リアルさを追求するために、具体的にどういったことをしましたか?
その世界を知るのは当たり前ですが、そのうえで記者という仕事の魅力を見つけ出すことを意識しました。
今回、僕が演じたのは「(出版社で)文芸の道に進みたかったけれど、週刊誌に配属された記者」という役です。自ら望んで記者になった方もいると思いますが、そうではない人もきっといますよね。だからこそ、演じるからにはその気持ちになれるように、週刊誌記者としての魅力や、仕事そのものの面白さを探しながらリアルさを追求しました。
僕も普段は近い業界にいますが、記者の方とは敵対することも多くて、裏側まではなかなか知ることができません。でもだからこそ、記者という職業についてしっかり学び、その中にある魅力を自分なりに見つけ出しました。
――実際に記者という仕事に魅力は感じましたか?
そうですね。やっぱりスクープ記事を出すことで、記者は編集部で表彰されたりするじゃないですか。そうやって会社に認められたり、世間がその記事でざわついたりすることで、どんどんハマっていく職業なんだろうなと感じました。
ただ、その一方で、もしかしたら自分が世論をコントロールしている様な感覚に陥ったり、ちょっと勘違いしてしまう部分もあるのではないか……とも思いましたね。
――もし阿部さんが実際に記者として働いたら、編集部のエースになれると思いますか?
自信はあります(笑)。正直、僕も過去にタレントとして週刊誌に追われたことがあるので、どうすれば記者に撮られないか、少しはわかっている部分があるんです。だからこそ、その“逆”の視点も見えるんじゃないかなと思います。