「事件だったら警察を辞める」と言った警察官は…
県警が本当に特異行方不明者として扱ったのか、もしそうならなぜ川崎臨港署の動きはこれほど慎重だったのか、不審なことは多い。
遅きに失した白井容疑者宅の家宅捜索で見つかった遺体は一部が白骨化し、無残に焼かれた跡もあった。遺体発見が報じられた5月1日、家族や友人ら数十人が川崎臨港署前に集まって捜査を求める署名活動を行ない、彩咲陽さんの父親と兄、飛松氏が担当警察官と署内で話し合った。
「お父さんと僕がその警察官に『なぜ事件性はないと言ったのか、説明してくれ』と質しましたがまともな答えはありませんでした。『事件だったら警察を辞める』とかつて言ったその警察官に対して、彩咲陽さんのお兄さんは『どう責任をとるのか』と迫っていました。警察官は青い顔をしてじっとしていました」
なぜ川崎臨港署は積極的な捜査を避け続けたのか。
「今回の事件について一部では『白井と彩咲陽さんがもともと交際していた経緯があるので捜査の判断が難しい面もあった』という解説も聞かれますが、これは全然違う。行方不明者が出たら、まずは現場に来て状況を丁寧に見なければなりません。家族は自宅のガラスが割られたことが、彩咲陽さんが姿を消したことと関連があると伝えたのに、取り合ってもらえなかった」
神奈川県警は5月3日、逃亡先の米国から帰国した白井容疑者に羽田空港から任意同行を求め、事情聴取先の県警本部で逮捕した。
さらに彩咲陽さんと白井容疑者の問題に絡む対応を公に説明。「必要な措置を講じていた」との見解を示し、ストーカー被害の相談については「受けていた認識はない」と説明した。
だが彩咲陽さん側からは去年6月から白井容疑者との問題に絡む通報が始まっており、12月だけで拉致される20日までの間に川崎臨港署に9回電話をかけていたことがわかっている。県警は署の対応が適切だったかどうかについて「今後の捜査で解明をし、確認をしたい」と説明している。
川崎臨港署はなぜ積極的な捜査をしてこなかったのか。その最大の疑問を県警が明かす日はくるのか。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班