アンチコメントに復讐してやりたかった
マリファナやコカインをやりながら仕事をする大工の同僚、飲酒運転は当たり前、どんなに切り詰めても1か月に72万円を超える生活費…。
アメリカでの地獄の日常を紹介する難民さんが、もうひとつ「絶望」したものが、自身のSNSに寄せられる視聴者からのアンチコメントだ。
「当初は妬み的なコメントが並んだものでした。『アメリカに住めるだけで幸せだろ』『ありがたいと思え』とか。
そういった人たちはたぶん、『アメリカは素晴らしい』『自由の国でアメリカンドリームがある』という、映画とかCMのようなポジティブな情報で洗脳されていて、『自分が憧れているアメリカのイメージを悪くするな』と。それで『アメリカに住めるだけで羨ましい』という風になっているんだと思います。
でも、そういったアンチコメントは削除するようにしています。視聴者同士が喧嘩になって、コメント欄が荒れてしまいますからね」
当初はアンチコメントがつくたびに非常に傷ついていたという。
「『こいつは本当に大嘘つきだ』みたいな酷い内容で。全部嘘だ、セッティングされ(仕組まれ)ているんだ、と。本当に悔しくて、晒してやろうと思ったこともあったんですが、ある方に『そんなことをしたら、ファンになってくれる人もファンになってくれなくなる』と言われて、ハッとしたんです。
今はもう完全にアンチ慣れして、結構楽しみにすらなってきています。逆にアンチコメントがなくなると、『注目されなくなったのかな』と、寂しくなる時期もあったくらいですね。
とはいえ、コメント欄で、『私も大変です』『同じような人種差別を受けました』と書いてくれる人も多くて、実際は僕と同じようにアメリカでの生活に苦しんでいる人も多かったんだと、ちょっと驚きましたね」
事実、難民さんの動画には、「共感」という希望もある。そして、家族に助けられている様子もまさに未来につながる希望だ。
「僕はあまり意識していなかったのですが、妻とはコミュニケーションを取っているほうなのかもしれません。仕事のこととか政治のこととか、家庭内でも意見を交わしています。
現在、妻は解雇されて以来、家で2人の子どもの面倒を見てくれている立場なので、家の中で顔を合わせていることも多いんです。
また、アメリカでは保育料も高いので、子どもは基本自分たちで面倒をみるか、いわゆるママ友同士で面倒を見合うことが多いですね」
仕事のストレスが溜まり、帰宅した途端に奥さんの前で号泣したこともあったという難民さん。
「あのときも、妻は『仕方ないよね』みたいな感じで大げさに心配しないでいてくれたのがありがたかったです。日本に住んでいたこともあるから、日本人である僕を理解してくれているんですよね。本当に助かっています」