妻でも恋人でもない女性と、500日間の2人旅
取材班が訪れたのは、神奈川県の山奥にたたずむ一軒家。その敷地内には、ひときわ目を引く黄色いスクールバスが駐車されていた。
このスクールバスの持ち主は「コージさん」。現在は美容室を経営しながら、この一軒家で友人たちとシェアハウス生活を送っている。コージさんは、過去に妻でも恋人でもない女性「さあやさん」と、500日間にわたり日本中を旅していたという。
今回はコージさんが暮らすシェアハウスにて、2人へのインタビューを行なった。
――スクールバスで旅を始めようと思ったきっかけを教えてください。
コージさん(以下、コージ) 2019年にファッション誌『VOGUE』で、ジャネル・イリアナさんという、ワゴン車で生活しているアメリカの女性が紹介されているのをたまたま見たんです。そこで「こんなカルチャーもあるんだ!」と衝撃を受けたのがきっかけですね。
もともと僕、遠出すると忘れ物が多いタイプなんですよ。それに、僕が経営している会社はコロナ前からリモートワークを導入していたこともあって、「車を自宅兼事務所にしてしまえば、それごと移動できて、忘れ物もなくて効率がいい!」と思ったんです。
僕、思い立ったらすぐ行動する性格なので、そのあとすぐに車探しを始めました。ただ、車で生活するとなると“狭さ”がストレスになるだろうと思って……。そこで、「自家用車よりサイズが大きいスクールバスもアリかも」と考えました。
実際に購入したスクールバスは、身長180cm近い僕が立っても、頭が天井にぶつからないくらいの高さがあるんです。
――このスクールバスを選んだ決め手はあるのでしょうか?
コージ もともと車に特別興味があったわけではないんです。ヤフオクでたまたま見つけて、価格が安かったからというのが理由ですね。出品者の方と電話で話してみたら意気投合して、最終的に189万円で購入しました。
もともとは、シボレーの1987年式「シェビーバン」をスクールバス仕様にしたもので、長さ5.4m、幅2.4m、高さ2.6mもあります。