不妊治療、離婚…新たなパートナーと再出発したのに…
――たくましいですね! 完済後は、どんなお仕事を?
私、30代は絶対に子育てをしたいと思っていたので、不妊治療を始めて33歳の時に人工授精で第一子を授かりました。そして2人目、3人目と授かり、子育てをしながらいろんな業種の会社の事務職をしていました。
――旦那さんのデイトレの資産も順調に増えていたんですか?
それはぼちぼちですね……。まあ、その後、価値観や会話のすれ違いから旦那さんとは離婚したんです。
それで現在のパートナーに出会い、やはり大好きなラーメン屋さんにもう一度トライしたい思って、2022年に『めん屋五坊』を始めました。
――2022年に再びラーメン屋を始めた川井さんですが、こちらのお店もお休みしてた期間があるんですよね。
はい。『五坊』は二郎系にしては珍しい魚介系と豚バラ軟骨を掛け合わせたスープで沖縄そばのソーキなどを使ったアッサリ滑らかな味わいのラーメンで好評いただいていました。
しかし、1年間は頑張ったのですが、私もパートナーも体を壊してしまい、沖縄そばの本格的な研究も兼ねて1年間ほど沖縄に移住したんです。沖縄での出店も考えたのですが…うまくいかなくて。
――それで2店舗目となる『五坊』を再始動したんですね。
そうです。その店で昼はラーメン、夜は居酒屋を始めたかったのですが、立地的に夜の営業が難しかったので、移転することになりました。
そして、3店舗目の準備を今年3月末から4月12日までの間に急ピッチで行なっていたのですが、オープン当日の13日に今回の被害に遭いました。
――本当に大変な被害でしたね。被害届を出して、その後、捜査状況はいかがでしょうか。
今のところ、私たちはまだ何も聞いていません。毎日、営業再開の準備をしたり、車の落書きを落としたりと大忙しな日々です。
そんな中でも、やっぱり「犯人にここまで憎まれるようなことをしたの?」とか「犯人は私たちを苦しませて楽しんでいるの?」と思うと心が折れそうです。
現時点でも「やはりもう営業再開はやめようか」とさえ考えてしまう。でも「こんなことで負けたくない」という思いもあります。
――最後に、川井さんはどんな思いでラーメン屋を営業してきたんですか?
二郎系といえば「マシマシ」とかコールすることも醍醐味かもしれませんが、やっぱりコールしづらい女性もいると思うので、うちはコールせずとも食券で済むようにしています。
それもあってうちはカップルでくる方や女性のお客様も多いんです。
そういった方々含め、私やパートナーが美味しいと思って生み出したこの味を、たくさんのお客さんにお腹いっぱい食べてほしい気持ちです。
営業再開を目指しながらも「もう辞めてしまおうか」「でもこんなことで負けたくない」とふたつの気持ちで揺れ動いている川井さん。まずは一刻も早く犯人が逮捕されることを願うばかりだ。
取材・文/河合桃子 集英社オンライン編集部ニュース班