免税制度を悪用した不正転売
現行の制度では、外国人旅行者などの免税対象者が日常生活で使う商品の消費税を免除している。家電やバッグ、衣料品などの消耗品以外のものは5000円以上、飲食料品などの消耗品は5000円以上50万円以下とされている。
消費税がかからない免税品を入手し、日本国内で税込み価格で転売すれば消費税分を利益として得ることができる。これが免税制度を悪用した不正転売だ。近年は手口が巧妙化しており、組織的な犯行が目立つ。
2023年10月に高級ブランド品やスマートフォンなど2億5000万円相当分を購入した中国人男性3人が消費税2500万円の徴収処分を受けた。この3人は留学生やフリーターだったにもかかわらず、免税対象となる「入国6カ月未満」の間に百貨店などで高級品を買い漁っていた。調査に対して海外に送ったなどと説明したが、それを証明する書類が保存されていなかったという。
学生やフリーターが数億円もの買い物をすること自体が不自然だが、こうした手口には、商品を国内で転売する裏組織やブローカーが関与しているとの見方もある。
2022年4月から2024年3月までで、免税購入金額が1億円以上の高額商品購入者は690人。免税購入額は計2332億円にのぼる。1億円以上の高額商品購入者は、検査を行なったほぼすべての外国人が適正に国外に持ち出している事実が確認されず、消費税の賦課決定がされている。しかし、その大部分の徴収が滞納となったまま海外への出国を許している。
税関の検査は任意であり、出国を止めることもできないのが実状だ。