2026年の新制度開始前を狙った“駆け込み転売”を懸念 

こうした状況に2026年11月から、ようやく免税制度が払い戻し型の「リファンド方式」に変更となる。

現在は免税店で手続きを行なって免税価格で購入し、税関でパスポートを提示、免税購入品を国外に持ち出す方式をとっている。新制度では、免税店でも外国人旅行者は消費税を払い、税関にて免税の可否認定を受ける。許可された場合、旅行者への税額返金を行なうことになる。

空港の免税店(写真/shutterstock)
空港の免税店(写真/shutterstock)

また、100万円以上の高額商品に対してはシリアルナンバーなどの詳細情報を入力するなど、転売を防止する手立てを強化した。新制度の導入により、免税制度を悪用した転売行為の大部分はなくなるだろうとみられている。

懸念されるのは、“駆け込み転売”だ。観光庁によると、2025年1-3月の訪日外国人のインバウンド消費は2兆2700億円。そのうち中国人観光客の買物代は2222億円だった。前年同期間は1620億円で、およそ1.4倍に急拡大している。1人1泊当たりにおける買物代もおよそ1.2倍に増加した。

日本にとってインバウンド消費は経済の活発化という恩恵があるのは間違いない。しかし、悪質な税逃れの横行や、買占めによって国内の消費者が欲しい商品を手にできないのであれば、デメリットが目立つばかりだ。