「女の子に興味を持っている素振りも見せませんでした」
谷内容疑者が複雑な家庭に育ち、事件を起こして昨年まで服役していたことなどは♯2で詳報した通りだ。そうした経緯を織り込み済みで、社会人として再起を図る青年を雇用していた社長は、苦渋に満ちた表情で重い口を開いた。
「被害者や遺族のことを思えばこんな事を言ってはいけないのでしょうが、私が接してる限り彼があんな凶悪な事件を起こすとは思えませんでした。仕事にも積極的でしたし、住まいである寮でも風呂掃除やトイレ掃除などに率先して取り組んでいました。
職場の同僚ともコミュニケーションをとれていて、会社で一番若い彼を『みんなで育てよう』という空気がありました。それだけに残念です。人には表裏があるのでしょうが、彼は表向きには悪い性格ではありませんでした。現場で先輩から『それ間違っている。ダメだぞ』と注意されたとしても、彼はふてくされるようなこともなく素直に聞いていました」
若者が抱えていた闇に気づけなかったという後悔が、社長にはあった。
「だからこそいい職人に育てたかったんです。あんな凶悪な事件を起こすという裏の部分を見抜けなかったのも悔しいし裏切られた思いです。被害者との接点については私もまったくわかりません。
そもそも彼は、女の子に興味を持っている素振りも見せませんでした。若い男の子でしたし、社内で冗談ぽくお金出して女の子と遊べるところに先輩たちに連れてってもらいなみたいな話をした時も『いやーけっこうです』と言っていたくらいです」