FRAGMENT UNIVERSITY 藤原ヒロシの特殊講義
ポケモン×フラグメント誕生秘話「始まりは税金対策でいいんです」藤原ヒロシの意外なコラボ哲学
「fragment design」を主宰し、ラグジュアリーブランドからNIKE、スターバックスまで数多くのコラボレーションを手掛ける藤原ヒロシ氏。なぜ多くの企業が彼を求めるのか。
書籍『FRAGMENT UNIVERSITY 藤原ヒロシの特殊講義 非言語マーケティング』より一部を抜粋・再構成し、2018年から続くポケモンとのコラボレーションの誕生秘話を紹介する。本記事は2023年12月に行われた講義をまとめたものです。
FRAGMENT UNIVERSITY 藤原ヒロシの特殊講義 #1
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皆川 ただ、鹿瀬島さんが心配していたのが、「オリジナルポケモンつくりたい問題」です。確かにクリエイターであれば、誰だって世の中にないキャラクターを生み出したいという願望は強いと思います。
鹿瀬島 はい。たまにあるんです。ゼロから新しいポケモンを生み出したい、というようなことを大御所であればあるほどおっしゃいますね。そうじゃなくても、著名な方とお仕事をするときって、既存のポケモンをゼロから描き起こしてアートワークをつくりたいというのが普通なので、当然、ヒロシさんもそのようにリクエストされるんだろうなと思っていました。
皆川 これが問題になるということは、現実的にハードルが高いということですか?
鹿瀬島 はい、とても難しいです。負荷もかかりますし、そもそも何が出てくるかわからないまま待って、上がってきてもノーとなる可能性があるので、かなり厳しい部分ですね。
皆川 しかしその日の夜のうちに、早速ヒロシさんからデザインが届いたと。鹿瀬島そうですね。初めてお会いした日の夜にもうメールが来て、「こんなのをつくりました」という。
写真はイメージ 写真/Shutterstock
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鹿瀬島 はい。もともと存在するアートワークなんですけど、そこにヒロシさんがアレンジを加えて送ってくれた画像ですね。
皆川 思いっきり変えたい、とはあんまり思わないんですかね、ヒロシさんは。
藤原 それってやっぱり、コラボレーションの話から外れちゃいますよね。できる部分にアドオンしていって、なおかつ色だけ変えるとかではなくて、何かを変える。
皆川 でも、ゼロからつくりたい人が多いんですよね、やっぱり。
鹿瀬島 そうです。だから、ちょっと心配していました。そう言われたらどうしようと思って。
FRAGMENT UNIVERSITY 藤原ヒロシの特殊講義
非言語マーケティング
藤原 ヒロシ
2025年2月26日発売
2,200円(税込)
四六判/344ページ
ISBN: 978-4-08-790194-8
ナイキ、ポケモン、スターバックス……世界の大企業は、なぜ藤原ヒロシを求めるのか?
90年代に「裏原宿」という世界でも類を見ないカルチャーを築き、その後はファッションの枠を超えて支持され、原宿のゴッドファーザーとして世の中に多大な影響を与えてきた藤原ヒロシ。氏の存在によって“ストリート”という曖昧な言葉に意味が定義付けられ、“コラボレーション”や“別注”など、それまでになかった言葉が世の中に浸透した。しかし、氏の作り上げたヒットやムーブメントの数々は認知されていても、その裏側にある知性、アイデアの作り方や育て方、人脈や、コミュニケーションのスタイルについては語られていない。
本書は、藤原ヒロシの仕事には本人も意図しない“マーケティング”が介在しているのではないか、という仮説のもと、歩んできた歴史や数々の仕事の事例を抽出し、それらを学術的に言語化して講義を行った架空の大学プロジェクト「藤原ヒロシの特殊講義 非言語マーケティング」の内容をもとに、一冊の講義録としてまとめたものである。
DAY1 文化人類学 -遊学史-
DAY2 社会学 -メディア論-
DAY3 情報学 -交友研究-
DAY4 経営学 -コラボレーション理論-
DAY5 建築学 -空間デザイン論-
DAY6 ケーススタディ -スターバックス コーヒー ジャパン-
DAY7 ケーススタディ -ナイキ-
DAY8 最終講義