狙うは、世界

皆川 ヒロシさんとお仕事で対峙したことのある貴重な存在として、第一印象はどういった感じだったんでしょうか。

鹿瀬島 ずっと憧れの人でしたし、まさか一緒に仕事ができると思っていなかったので、絶対に失礼のないようにしようと思って、すごく緊張しながらお会いしました。緊張していたことぐらいしか覚えていない。

藤原 鹿瀬島君の緊張はまったく感じませんでした(笑)。

鹿瀬島 それはヒロシさんがすごくいい雰囲気をつくってくださったからだと思います。

皆川 最初に約束したことが二つあったということですが、これは?

鹿瀬島 はい。〝From Japan to The World〞ということで、最初からグローバルでやることが前提になっていた、というのが一つですね。

皆川 大きく出ましたね。

鹿瀬島 大きく出ました。

皆川 何か勝算があったんですか。

鹿瀬島 いや、最初から風呂敷は広げていこうと。絶対に断られるだろうと思っていたので。

皆川 そしてもう一つが、「既存ファンにとらわれない」。僕はこれが素晴らしいなと思ったんですけど、普通、ブランド側がなかなかここまで思い切ることはないですよね。

鹿瀬島 はい。でもこれは最初から決めていまして、ポケモンファンには響かないかもしれないが、その覚悟でいきたい、とヒロシさんにもお伝えしました。

なので、ポケモンのオウンドメディアってフォロワー数がすごく多いんですけど、いっさい、オウンドメディアにのせないという判断をしたんですね。ファッションの文脈でちゃんと「あり」と受け入れられることだけ考えてやろうというのは、最初に決めたことでした。

写真はイメージ 写真/Shutterstock
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皆川 会社はよく理解してくれましたね。

鹿瀬島 そうですね。正直、ヒロシさんのことを知っている人はうちの会社にはほとんどいなかったですし…。

藤原 僕はいつも大きい企業だったり、レコード会社と仕事をしていて思うんですけど、始まりは税金対策でいいんです。

皆川 どういうことですか。

藤原 もし企業にお金が余っているんだったら「いつもと違うことをやっているな」と思ってもらえるくらいの規模感で僕と何かやるくらいがいちばんいいと思うんです。

最初から僕が出ていって、「これをやったらめちゃくちゃ売れますよ」とか「今までのファンと全然違う層がとれますよ」とか言うんじゃなくて、小さく、小さく。