大学に一番求められていることは開放性と多様性

服部 最後に、教育については常に話題になっていますが、今の大学の教育、あと、今の学生に期待することを聞かせていただけますか。

神田 最初に結論から言うと、知的好奇心で、とにかく何でも欲張って勉強するということです。教育の機会のない途上国や貧しい家庭の方々からすると、大学で勉強できるということは本当に有難いことなのです。

乱世になっている今、しっかりと勉強したら、これまででは考えられないような、大きく社会を変える、あるいは自己実現ができるチャンスが、今の学生の世代では無限に広がってるわけです。私の世代からすると羨ましいくらいです。やらなきゃ損です。

また、大学でやってほしいのは、最先端の研究に加え、最低限の教養ですよね。専門性の進化だけじゃなくて、幅広い視野を育む、要するに、ちゃんと常識を持って、それから古今東西の経験とか知見を謙虚に吸収したうえで、この乱世に適用する材料を持ってから社会に出てほしい。古典を読まない人は、謙虚さに欠けると思います。

好奇心を豊かにして、いい社会にしたい、それで、自分は何ができるのだろうかということを考えさせる。大学はそうするための気づきと、知的な武器を与える場であったほうがいいと思います。

そうするために、大学自身に一番求められていることは、オープン、開放性と多様性だと思うんですね。私もここ数カ月でも多くの海外のキャンパスでキーノートスピーチをやっていますが、老若男女、いろんな国籍の人がばんばん質問をし、まさに多様です。いろんな人が出たり入ったりする。その知的なエコシステムの中核に、大学が存在する必要があると思います。

はじめての日本国債
服部 孝洋
はじめての日本国債
2025年1月17日発売
1,100円(税込)
新書判/272ページ
ISBN: 978-4-08-721348-5

【「国の借金」で経済動向がよくわかる!】
「国債」とは何か。おそらく多くの人が「国の借金」と答え、いい印象は抱いていないだろう。
しかし、国債が経済においてどのような役割を果たしているかはあまり知られていない。
実は国債の仕組みがわかれば、いま日本経済で起こっている変化を理解するのが容易になるのである。
日本における国債の仕組みを入り口に、債券や証券、日銀の市場操作などの金融政策、銀行や生命保険の運用などの解説を通して、日本経済の見方が身につく入門書。

【目次】
第1章 国債がわかれば金融の仕組みがわかる
第2章 国債(債券)に関する基本
第3章 証券会社と国債市場の重要な関係
第4章 日銀の役割と公開市場操作(オペレーション)
第5章 国債からわかる日本の金融政策史:量的・質的金融緩和から量的縮小へ
第6章 銀行や生命保険会社と国債投資の関係
第7章 日本国債はどのように発行されているか
第8章 デリバティブを正しく理解する
第9章 短期金融市場と日銀の金融政策

【おもな内容】
・債券と株式の違いは?
・証券会社の役割とは?
・金利が上がると価格が下がるのはなぜ?
・金利はどうやって決まる?
・国債トレーダーの仕事とは?
・日銀の政策をどのように予測するか?
・なぜ銀行は国債を買うのか?
・短期国債のほとんどは外国人投資家が保有している?

amazon 楽天ブックス セブンネット 紀伊國屋書店 ヨドバシ・ドット・コム Honya Club HMV&BOOKS e-hon