大学に一番求められていることは開放性と多様性
服部 最後に、教育については常に話題になっていますが、今の大学の教育、あと、今の学生に期待することを聞かせていただけますか。
神田 最初に結論から言うと、知的好奇心で、とにかく何でも欲張って勉強するということです。教育の機会のない途上国や貧しい家庭の方々からすると、大学で勉強できるということは本当に有難いことなのです。
乱世になっている今、しっかりと勉強したら、これまででは考えられないような、大きく社会を変える、あるいは自己実現ができるチャンスが、今の学生の世代では無限に広がってるわけです。私の世代からすると羨ましいくらいです。やらなきゃ損です。
また、大学でやってほしいのは、最先端の研究に加え、最低限の教養ですよね。専門性の進化だけじゃなくて、幅広い視野を育む、要するに、ちゃんと常識を持って、それから古今東西の経験とか知見を謙虚に吸収したうえで、この乱世に適用する材料を持ってから社会に出てほしい。古典を読まない人は、謙虚さに欠けると思います。
好奇心を豊かにして、いい社会にしたい、それで、自分は何ができるのだろうかということを考えさせる。大学はそうするための気づきと、知的な武器を与える場であったほうがいいと思います。
そうするために、大学自身に一番求められていることは、オープン、開放性と多様性だと思うんですね。私もここ数カ月でも多くの海外のキャンパスでキーノートスピーチをやっていますが、老若男女、いろんな国籍の人がばんばん質問をし、まさに多様です。いろんな人が出たり入ったりする。その知的なエコシステムの中核に、大学が存在する必要があると思います。















