「下町の青年警察官の巻」(ジャンプ・コミックス1巻収録)

今回は、「週刊少年ジャンプ」で読み切り掲載され、その後に連載化された『こち亀』の、記念すべき連載第一作をお届けしよう。

本作が描かれたのは、1976年。日本における喫茶店全盛期といえる時代だ。この年、日本の喫茶店の数は10万軒を突破。10年前の1966年には2万7千軒ほどだったから、10年間で4倍近く増えたことになる。

その後、1986年には15万件になるが、それをピークに減少していくことになる。

そんな「喫茶店の時代」にスタートした『こち亀』だが、初期においては両さんたちが喫茶店ですごすシーンが何度も描かれている。

本作では両さんと初期のレギュラーメンバーだった戸塚が勤務中に堂々と喫茶店でサボりを決め込むが、中川や、ときには大原部長も喫茶店ですごしていた。コーヒーを飲みながら煙草を一服して休憩したり、暑い夏場には涼を求めて店に駆け込んだり……というのはあるあるだった。

ちなみに1976年のクーラー・エアコン設備の普及率は、わずか6%! 4月8日からお届けする「サイド・ビジネスの巻」(ジャンプ・コミックス25巻収録)は1981年の作品だが、この年の普及率は40%程度で、派出所の冷房設備は扇風機とうちわだ。

このお話より以前に描かれた「ローラー大作戦!の巻」(ジャンプ・コミックス15巻収録)では、効かないながらもクーラーがある描写がされていたのだが……完全に壊れたのだろうか? 暑さに耐えかねた両さんと中川は、冷房を求めて喫茶店に向かっている。

「サイド・ビジネスの巻」より。「冷房の効いた」喫茶店がありがたい時代のひとコマだ。なお、実はこの店、ヤクザのフロントビジネスで……。このお話は、4月8日からお届けするぞ
「サイド・ビジネスの巻」より。「冷房の効いた」喫茶店がありがたい時代のひとコマだ。なお、実はこの店、ヤクザのフロントビジネスで……。このお話は、4月8日からお届けするぞ

それでは次のページから、昭和感あふれる喫茶店でサボる両さんが巻き起こす大騒動をお楽しみください!!