厳しい目が向けられた“成果”は?
──ネット上では、「税金を使う以上、空想という抽象的なものでは駄目だ」といった厳しい声も目にしました。何か成果物や具体的な活動などはあるのでしょうか?
築山類氏(以下、築山) 昨年の8月以降、計3回広報誌を作りました。これは「持続可能な江戸川区を作るためには、どのようにしていけばよいのか」を区民の皆さんとともに考えるために、区の考えをお示しし、広く意見をお伺いしてきました。

椎名 ほかにも、2100年という未来を見据えた話なので、「今の子どもたちにも聞いてみる」取り組みも行ないました。夏休みには、区内の小中学生120人くらいにご参加いただき、区の課題や自分たちにできることを考えるワークショップを開催しました。
また、児童・生徒に配布されているタブレットを活用して、区内の小学5年生から中学3年生に、今回の取り組みの解説動画をご覧いただき、アンケートに答えてもらう取り組みも実施しています。
──4月の始動後、広報誌やワークショップとして8月に形になったわけですね。準備としてはどんなことを?
築山 当初は「何が必要なんだろう」「何からやろう」など、本当に考えるところから始めました。ただ、ネーミングのおかげか、企業から「何をされているんですか?」「ぜひお話を聞かせてください」という声が多々ありましたので、そこはすべて行って意見交換いたしました。
椎名 公園をよりよくする団体とか、生涯学習を行なっている区内の大学などから「こういうプランがあるので話を聞いてください」というオファーもありました。上半期はとくに意見交換を行ないましたね。
実は、民間企業の中には空想を扱う部門があるところも。何かヒントが探せないかと、スタートアップ企業やデザイン会社など、お声がけいただいた会社にお邪魔したり、われわれからもお伺いしたりしていました。
──特に参考になった企業はありましたか?
椎名 “未来について空想する”という新聞を作っている企業があり、とても参考にさせていただきましたね。
本社にお邪魔して「どういうふうに作ってるんですか?」「製品開発はどうアイデアを出してるんですか?」など、何か役所にフィードバックできるものはないかお伺いしました。
──われわれも“空想”という言葉にとらわれていましたが、つまりは民間でいうところのコンサル的な業務なのでしょうか?
椎名 “考える”ということでいうとそうなのかもしれません。コンサルだと外注することになってしまいますが、それが江戸川区のアイデンティティとか、経験として職員の血肉になるかというと難しい場面もあるかと思うんですよ。
何もない中から職員がしっかりと考えるという、そのプロセスこそが空想係の仕事なのかなと思っております。