親子の会話は脳にも好影響

コミュニケーションという観点から見ても、親と同じ趣味を持つことはプラスです。なぜなら、同じ趣味を持つことで、親子の会話が増えるからです。

「1時間あたりの育児量と肯定的な発話内容が多いことが、その後の子供のIQに強く関連していた*3」「親から肯定的に豊富な語彙で多く話しかけられていた1〜2歳児は、そうでない群よりも3歳になった際に語彙数が2倍になり、IQが1.5倍高かった*4」「コミュニケーション能力の達成は、学生の学業成績の向上と有意な相関が見られた*5」など、親子の肯定的な会話の量と、培われたコミュニケーション力が、子どものIQや成績を上げることは様々な調査で証明されています。

難しく考える必要はありません。

私は昆虫が大好きなので、息子と自分それぞれ網を持って、「どっちがトノサマバッタをたくさんとれるか」と競い合いました。

図鑑も一緒に読みました。図鑑があるもの(昆虫、動物、電車、植物、星、魚、鳥、恐竜など)は、実物と一緒に本と現実の世界を結びつけるといいですね。恐竜は実物はいませんが、化石があります。これも単純接触効果を高めてくれます。

楽しく親子でたくさん会話をすれば、子どもは賢く育つのです。

親子共通の趣味がある家庭の子どもはIQが高く、親の認知症予防にもつながることを脳科学的に説明できる根拠_4
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子どもは親をマネして育つ

親子で同じ趣味をするのがいい理由には、「ミラーニューロン」が私たちにあるからです。ミラーニューロンは、相手の動きに反応するだけでなく、相手の動きを見ているときにも、聞いているときにも反応します*6。

そして、ミラーニューロンによって、他者の意図を理解することで、共感する力がはぐくまれることもわかっています。これは、社会で生きる私たちにとって、とても重要な能力です。

そうであるならば、模倣する身近な対象である保護者が、自ら楽しんですることを一緒に行うというのは、子どもの行動や感情、社会性の発達にとって大いにプラスになります。

親が楽しんでしていることに連れて行くのもいいですし、家で何かを一緒にするのもおすすめです。公園でサッカーをしたり、家でプラモデルをつくったり。できることはたくさんあります。一緒に楽しめることを選んで下さい。

一生懸命な親御さんの中には、休みの日に無理して、動物園や水族館に連れて行く方がいます。親子で楽しめるのであれば素晴らしいのですが、渋滞にイライラし、家に帰ったら「あー疲れた……」とこぼすのであれば、親子ともに脳へのサプリにはなりません。ましてや、「親はどこかで休んでいる」というのでは、ミラーニューロンの出番がありません。

無理せずとも、家で料理をする、ボードゲームをするなど、共に楽しめることをしたほうがいいでしょう。一緒に何かにハマるようになると、お子さんの脳はぐんぐん成長していきますし、親御さんの脳も負けじと生き生きしてくるものです。

脚注
*1 Matthias J Gruber, et al. States of curiosity modulate hippocampus-dependent learning via the dopaminergic circuit. Neuron, 2014 Oct 22;84(2):486-96.
*2 Taki Y, et al. A longitudinal study of the relationship between personality traits and the annual rate of volume changes in regional gray matter in healthy adults. Hum Brain Mapp. 2013 Dec;34(12):3347-53.
*3 Betty Hart, et al. American parenting of language-learning children: Persisting differences in family-child interactions observed in natural home environments. Developmental Psychology, 1992, 28(6), 1096–1105.
*4 Betty Hart, et al. Meaningful Differences in the Everyday Experience of Young American Children. Baltimore, MD: P.H. Brookes Publishing, 1995.
*5 Mahmud Maria Mahmud. Communication Aptitude and Academic Success. Procedia -Social and Behavioral Sciences, May 2014, 134:125–133.
*6 Evelyne Kohler, et al. Hearing sounds, understanding actions: action representation in mirror neurons. Science, 2002 Aug 2;297(5582):846-8.

写真/shutterstock
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