「このビルではピアノは名物みたいなものですね」 

このカフェの関係者によると、ポストの後、店には抗議電話がかかり、営業にも影響が出る事態になった。カフェは2日後の3月24日、店のXアカウントに、

〈こちらのアカウントは店舗のスタッフアルバイトが運営しておりまして、ピアノのSNS運営とはまた別でございます〉と主張しながら、〈当店としても伝えたいことは沢山ありますが現在精査中でもう暫くお待ちください〉とポスト。

さらに〈当店としましても、数々の臆測や例のピアノの呼称においての言葉の齟齬(運営サイドのストリートピアノに対しての認識不足だと私も考えております)や注意喚起における文章に対していち早く世間の皆様との擦り合わせをしてほしいと願うばかりです〉と書き込んだ。

騒ぎは収まらず、今度は25日午後、「南港ストリートピアノ」アカウントが〈掲示文書について、表現が適切でなかったことを深く反省しております。また、このことで皆さまから多くのご批判をいただいており、不愉快な思いをおかけしましたこと、心からお詫び申し上げます〉と謝罪を表明。

さらに、

〈「ストリートピアノ」という呼称の認識を誤っておりましたことも重ねてお詫び申し上げます。現在、ピアノは撤去の方向性で進めております。〉とも明らかにした。

謝罪を投稿するものなかなか騒ぎは収まらなかった
謝罪を投稿するものなかなか騒ぎは収まらなかった

では、そもそも実際の現場では、管理者が主張した「つっかえてばかり」の下手な人が練習にピアノを使い、「苦音」が響いていたのだろうか? 現場で話を聞くと、そうした情景は浮かんでこない。

フードコートをちょくちょく利用し3月23日の日曜日にも来たという50代の女性は「ピアノの演奏ですか? ここはみんな上手な人ばかりで、下手な演奏は聴いたことがないですね。先週もそうでしたよ」と首を傾げた。

ピアノのすぐそばにある雑貨店の女性店員も「下手な人ですか、まあ時々『あれ?』という演奏はあるかもしれませんけど(笑)、逆にめちゃくちゃ上手いかたもおられて、全体でみれば“騒音”とは全然感じませんよ。みなさん、楽しく弾いておられると感じられますよ」と好印象を持っていることを隠さない。

別の店の女性店員も「上手な人の方がはるかに多くて、土日の午後になると演奏が始まるので、このビルではピアノは名物みたいなものですね。ルールの10分を超えて弾き続ける人がいることもない感じです。みなさん、列を作って弾く順番を待っていますから。え、ピアノがなくなっちゃうの? それは寂しいですね」と話す。