センバツはエースのフル稼働も可能

投手運用にもセンバツ独特の戦略がある。

センバツは早い日程で登場したチームは、遅い日程で登場したチームより試合間隔があくため、「1週間で500球以内」という球数制限の影響を受けにくい。これにより、夏の甲子園とは異なり、センバツ大会の日程によってはエースの“フル稼働”が可能となる。

実際に2023年のセンバツを制した山梨学院が登場したのは大会初日。この日程のめぐり合わせもあって、エースの林謙吾が6試合に登板して4完投を記録している。林の大会での総投球数は696だが、「1週間で500球以内」という球数制限は守っている。

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では、センバツで勝ち上がるために求められる投手の資質とは何か。それはゲームメイクが計算できる「制球力」と言えるだろう。夏とは異なり、決勝までプランニングできる投手が軸にいることが、チームにとって何よりの戦力となる。

山梨学院の林もその類の投手だった。夏に比べて打者もまだまだ仕上がっているとは言えない段階にある上、昨年から低反発バットが導入されているので、力で抑えられるポテンシャルよりも安定感が求められるのだ。

果たして今年のセンバツはどんな投手、チームが輝くのか。各校の適応力やチームカラーなどに注目していきたい。

文/ゴジキ