野菜に例えたら有機農法のような感じ

アイガモ農法とは、農薬や化学肥料を使わずに、アイガモの「生きる力」を借りて栽培する自然農法だ。 

アイガモ農法では、田んぼの中をアイガモたちが動き回る(写真提供/田宮竜平さん)
アイガモ農法では、田んぼの中をアイガモたちが動き回る(写真提供/田宮竜平さん)

「アイガモは田んぼの中で動き回るので水は濁って光合成が鈍り、雑草の成育を抑制してくれます。アイガモは田んぼにいる害虫を食べてくれるし、基本的に稲にはイタズラはしません。ウチでは毎年200羽くらいのアイガモを田んぼの一部に入れて、コメを作っています。1羽600円程度のヒナを孵化業者などから買い取ってやるんです。 

イノシシやカラスなどの外敵からアイガモを守るために、田んぼの周りを囲ったりもします。アイガモを田んぼに入れるのは5月下旬くらいで、8月のお盆前に田んぼから引き揚げますが、その間は飼育面でも手間暇がかかります。害虫だけではお腹いっぱいにはならないので、クズ米をあげたりしています」 

コメとアイガモを守るために、田んぼの周りを囲いがある(写真提供/田宮竜平さん)
コメとアイガモを守るために、田んぼの周りを囲いがある(写真提供/田宮竜平さん)

アイガモ農法でできたコメは味も違うのだろうか。

「よく聞かれるんですが、味が違うということではなくて、野菜に例えたら有機農法のような感じです。ウチがアイガモ農法で作っているのはコシヒカリとミルキークイーンがメインで、もち米もやっています。

稲の穂が実る前に引き上げたアイガモは、別の場所でしばらく飼ってから最終的には食肉加工して販売します。ヒナから育てるのでエサ代もお金がかかりますし、食肉加工して売っても利益は出ません。マイナス分を圧縮するために売るという感じですね。ですから手間暇や経費もかかる分、通常に作ったお米よりは価格も少し乗せさせてもらってはいます。

アイガモ農法は全国でもおそらく数百名しかいないと思うし、ウチの強みでもあるので、できる限りは続けていきたいですね。若い方も興味を持ってくれるし、ウチにも去年、千葉の高校生がアイガモ農法の見学に来てくれました。ただ、私が知る限りはコメ農家に若い方が新規参入する例は少ないですね」

アイガモの雛(写真提供/田宮竜平さん)
アイガモの雛(写真提供/田宮竜平さん)