運動でアイデアがどんどん浮かぶ。デフォルトモードネットワークを体験
有酸素運動の利点は、「脳の破壊を食い止める」ということに留まりません。
デフォルトモードネットワークというものをご存じでしょうか。簡単にいうと、どんどんアイデアが思い浮かぶ魔法のような脳の神経回路です。
ジョギングは、このデフォルトモードネットワークと深く関わっています。
脳には、特定の課題に取り組むわけではなく、ぼんやりしているときに働きはじめ、記憶を整理したり、感情を整えたりする機能があるといわれています。
ぼんやりしているときに、何かを思い出したり、よいアイデアが浮かんだりという経験はありませんか?
これは、デフォルトモードネットワークによるものです。
特定の課題に取り組んでいるのではなく、ぼんやりしているときに起こるので、人によって生じるタイミングが異なります。
たとえば、散歩しているときによいアイデアが浮かぶ人もいますし、自転車にのっているときに、それが浮かぶ人もいるでしょう。散歩で、デフォルトモードネットワークを体験する方は多いと思います。
19世紀半ばに活躍したアメリカの偉大な思想家ヘンリー・ソローも、散歩によってその考え方を深めたことで有名です。
著書『歩く』(ポプラ社)の中で以下のように述べています。
「私が語っている歩くということは(中略)運動とは似ても似つかないものです。それ自体が一日の大胆な取り組みであり、冒険なのです」「一日に少なくとも四時間、ふつうは四時間以上、森や丘や草原を越え、世間の約束事から完全に解放されて歩きまわることなしには、自分の健康と精神を保つことができない、と私は思っています」