SNSで賛否両論の“タイミー営業”、その実態は?
働き方の多様化や人材不足を背景に、近年、急速に広がりつつあるスポットワーク。そのなかでも、履歴書や面接不要でスキマ時間を利用して単発バイトができるアプリとして「タイミー」は利用者が多くなっている。
そんなスキマバイトでは、今「タイミー営業」なるものが話題を呼んでいる。
最近だと、SNSではこんな投稿がバズっていた。
〈忙しすぎて急遽タイミーを呼んだ話なんだけど。急遽呼んだので申し訳ないなと思っていたら。ニコニコ笑顔でいちご農家です。静岡から来ましたと言っており、えっなんでわざわざ東京まで来てくれたんですかと聞いてみると……〉
このポスト主はスイーツを製造・販売する会社のオーナーとみられ、自社の製造工場でタイミーを使って労働者を雇ったところ、その労働者がたまたま「いちご農家」だったという。そこでそのいちご農家の商品を使ったスイーツを考案し、販売したという経緯だ。
上記は成功例であるが、なかにはこんな意見も。
〈タイミー営業の話題。展覧会に営業に来る人が割といて、業務中に拘束されて「弊社のビジネスの話を聞いて!」というのが多いので、だいぶ苦手です。ご案件は事前にご連絡してからご来場下さい。この例みたいな騙し打ちみたいな営業いやすぎる。〉
雇用主側からは「タイミーを使って働いてもらうつもりが、業務中に関係のない話を聞かされて不快だった」という意見もみられ、賛否両論あるのだ。
川上氏に、こうしたタイミー営業の実態について聞いてみた。
「近年はタイミーなどのスポットワークが流行し、営業ツールとして用いられるケースが“新しい現象”として目立ってきていると思いますが、実は以前から存在している『日雇い労働』でも、似たような現象はあったと考えられます。
日雇い労働も基本的には同じ単発アルバイトの働き方ですので、就業先で知り合い、親しくなった人と本業の仕事の話で盛り上がり、契約などにつながるというケースはあるでしょう。
こうした“意図せぬ営業”は、日ごろ接点がない人と出会える場でよく起こるものです。タイミー営業と呼ばれる行為の多くも、営業目的ではない場所で起こっているケースがたまたまタイミーだっただけだと考えられます。
ただ、意図的である場合については、本来営業先ではない場所に潜入して営業行為をする、いわば “潜入営業”の一種と捉えられるでしょう」(川上氏、以下同)