「中学の頃に『裸の19歳』を見て、お父さんをカッコいいと思った」
十年ほど前、虎太郎さんと歳の変わらない俳優Aさんが原田さんとの共演をきっかけに、虎太郎さんとも仲よくなり、舞台出演に誘ったことで、虎太郎さんの新たな人生が動き始めた。
普段は父に反発をすることもあるそうだが、実は中学時代から原田さんの演技を見て、憧れを持っていたのだ。
「中学の頃に『裸の19歳』を見て、お父さんをカッコいいと思った。『Gメン'75』も好きで、『西部警察』のビデオもいっぱい持っている」(虎太郎さん)
そして、「役者として活動をしたい」という強い憧れは、2023年に父が初めて書き下ろした舞台『ちっちゃな星の王子様』で主演を演じることで叶うことになった。
「この人が生まれる時に、ちょうどアランドロンが『星の王子様』を自分の息子を使って映画を撮ったんだよね。だからこの人が産まれたら『星の王子様』をやらせたかったんです」(大二郎さん)
妻の規梭子さんも息子の晴れの舞台には「身体が大きい両親の子なのに、ちっちゃい頃にあんまり食べられなくて、栄養が足りなかったのかね。でも星の王子様みたいに育ってくれたからいいよね」と思っていたという。
公演は無事成功。2時間の長セリフも見事、頭に入っており、拍手喝さいを浴びた。
しかし、『星の王子様』には奮起して出演できたのだが、実は虎太郎さんは2019年に脾臓すべてとすい臓10分の1を切除する大手術を受けており、手術の後遺症で体に痛みが走り、安静を保つ生活が始まっていた……。
〈後編につづく『「こんなに弱い僕でも、僕でよかったの?」病を抱えたひとり息子と俳優・原田大二郎が歩んだ50年』〉
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班