「同じことを今度は知事が自ら行おうというのです」
会見での異様な光景はこれだけではない。この日、百条委報告に不満を持った片山元副知事がコメントで「パソコンの中身を公開するよう知事に求める」と表明していた。斎藤知事はこれに触れ、公開するかどうかは「決めていない」と言い始めたのだ。
さらに「検討したいということか」と聞かれた斎藤氏は、「納税者から見て(パソコン内容に)関心はあると思いますので、どういった対応ができるかは、最初から全てがダメとかっていう議論ではない」と返答。情報公開請求があれば開示の可否を検討するとの考えを表明したのだ。
「公用パソコンの中にあるものは公文書とみなすという論理ですが、百条委はこの私的データは扱わないと決めていました。その理由を弁護士である奥谷氏は『公文書公開では、通常他人に知られたくないと認められるものは個人に関する情報として非公開情報とされる規定があります』と説明してきました。斎藤知事の主張はこの考えに真っ向から反しています」(県職員)
Aさんの私的情報はこれまで何度も拡散されてきた。「毎回、人格を貶め告発の信用性を下げる目的です。同じことを今度は知事が自ら行おうというのです」(県職員)
会見は普段に増して殺伐とした空気になり、終盤には「あなたは死体蹴りをやっている。死者を冒涜するな。職員をばかにするな」と斎藤知事を叱責する大声が飛んで大荒れとなった。
「斎藤知事の発言で、支持者グループのチャットでは早速公開請求の呼びかけが飛び交っています。想像もつかないことを知事が先導して始めたんです」
県関係者の一人はそう話し、気分が悪くなったとふさぎ込んだ。疑惑発覚から間もなく1年。醜悪さを増しながら混乱は一層深まっている。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班