傍聴席は斎藤知事支援者 ブーイングポーズで抗議
3月4日の委員会で奥谷氏は故竹内氏に触れ、涙ぐみながら「さぞかし無念であったと思います。こんにちの日を共に迎えたかった」と話した。傍らでは何人もの県職員が泣いていた。
そして翌5日、報告書は県議会本会議に報告され、多数決で了承された。
「採決に先立ち報告した奥谷氏には議員のほとんどが拍手を送りました。議会の圧倒的多数が、告発を虚偽と決めつけた斎藤知事に態度を変えるよう求めた形です。
しかしここから斎藤知事や支持者は抵抗を強めたんです」(地元記者)
70の傍聴席はほとんどを斎藤知事の支援者が占め、奥谷氏が報告書を読み上げた時には女性2人が立てた親指を下に向けるブーイングポーズで抗議。大声を上げた高齢男性1人が強制的に退室させられた。
さらに百条委の秘密会の音声を隠れて録音し立花氏に提供していた増山県議は、報告書了承に反対する討論を行なった。増山氏は岸口氏とともに維新も離党している。
「討論で『憶測に基づいた誹謗中傷性の高い結論を導いている』と告発文書の信用性を否定した増山氏に、傍聴席から拍手が起きました。結局、採択には増山氏と、この日維新を離党した白井孝明県議の2人が反対し、岸口氏は採決時に退席しました」(地元記者)
この様子を厳しい顔で聞いていた斎藤知事は本会議が終わると報告書には従わない意思を鮮明にした。
直後の囲み取材では公益通報者保護法違反の可能性が高いとの指摘に「可能性ということですから、逆に言いますと適法性の可能性というものあるということで、兵庫県、私としては対応については適切だったと考えています」と言ったのだ。
自身のパワハラが事実上認められたことに対しても「違法性の認定をされていない」と主張。場所を改めた午後の定例記者会見でも、報告書は「1つの見解」だと言い、自身の言動に問題があったとは認めない。そして斎藤知事は、処分撤回などAさんの名誉回復を図らないのかと聞かれると突然饒舌になり、Aさんのパソコンに「倫理上極めて不適切な、わいせつな文書」があったと言い始めた。
「これまで斎藤知事はAさんの懲戒処分の理由の一つに『業務と関係のない倫理上問題のある文書を業務中に作成した』ことを挙げてきました。突然文書の中身なるものを持ち出したことで記者団は驚き、なぜそこまでAさんを貶めるのかとの質問が相次ぎました。
斎藤知事は中身を明らかにしたことに問題はないと強調し、少なくとも計7回、『わいせつ文書』という言葉を繰り返したのです。ムキになって連呼した印象です」(現場にいた記者)