「自分の裁判を控えているので、ここでは話したくありません」

裁判長に促され、証言台に立った内田被告。

なにを語るのか注目されていたが、尋問開始時の「虚偽を述べない」などと記載された宣誓書の朗読を拒否した。

裁判長「神居古潭の事件で証人として質問をしますので、宣誓をしてください」

内田被告「しないです(はっきりとした声で)」

裁判長「なぜ宣誓をしないのですか?」

内田被告「自分の裁判を控えているので、ここでは話したくありません」

裁判長「あなたの裁判でも当然、被告人として話をする場があると思いますが、それでも話せないということですか?」

内田被告「ここでは話したくありません」

裁判長「証人として、宣誓をすることは義務です。宣誓をしたあとも、証言拒絶権があります。正当な理由がなく、宣誓を拒んだときは罰則があります。あなたが、ここまで話した内容では、正当な理由とは認められませんが。宣誓をしてください」

内田被告「しないです」

結局、このやり取りが進展することはなく、なにも語らないまま、わずか3分で証人尋問は終了。

張り詰めた空気の漂う法廷で、証人が宣誓すら拒否することは異例。内田被告の言葉には、裁判長からの説得にも屈しない、強い意志が感じ取れた。

内田被告は、証言台から元の席に戻され、退廷させられた。

法律上、証人として宣誓をしたあとでも、自己が有罪判決を受けるおそれがある場合などには、証言を拒むことができ、「証言拒絶権」として保障されている。

とはいえ検察側は、証言拒否はともかく、宣誓さえ拒否することは想定外だったかもしれない。