「コオロギ粉末入りパン」が発売されると不買運動にまで発展
とはいえ、企業もあえて火中の栗を拾うような真似をするはずもなく、市場の縮小は続いているという。
「取り扱いたくない企業の気持ちもわかります。先程も言いましたが、コオロギが食品として危険なのか危険ではないのかという議論をすれば、科学的な根拠はないわけですから、見方もさまざまになります。
EUの食品安全機関は、コオロギについては食品として安全だと認めています。健康被害をどこまでのレベルで言うのかという問題はありますが、アレルギーがメインだと思うんです。日本では、食べている人が少ないので事例がとれないでしょうが、今のところ昆虫食についてのアレルギーは認定されていません。
企業も健康被害を引き起こすリスクではなく、取り扱うことで世間から叩かれるリスクを考えて今は様子見という感じなのでしょうか」
炎上したのはコオロギ給食だけではない。「超熟」シリーズが人気の敷島製パンもコオロギ粉末入りのパンを発売すると、同社のTwitter(現X)には非難の意見が多数書き込まれ、不買運動まで起こった。
「あのときはすごかったですね。『超熟にもコオロギが入っているんじゃないか』って、もう言っていることがめちゃくちゃでした。実験的に参入していた企業もみんな手を引いてしまいました。
我々もですが、強制的に食べてくれと言っているわけではなく、食べてみたい人が食べてみてくれたらいいと思っているんですけどね。僕も今でもうちで出している乾燥コオロギに味付けした商品を食べていますが、おいしいですよ。
コオロギ食に関していろんな意見があるのはいいことだと思います。そしてある一定の時期にたんぱく源が不足するというのはたしかなはずです。そのときに慌てても遅いので火種は絶やさないようにしよう、そんなふうに僕は思っています」