「ひな祭りロック!の巻」(ジャンプ・コミックス8巻収録)

今回は、両さんの誕生日が3月3日だと判明する、『こち亀』最初期のエピソードをお届けする。

両さんの誕生日は、3月3日の「ひな祭りの日」。この日は「桃の節句」ともいわれる。女の子の健やかな成長を願うためのお祝いで、かつては桃が咲く季節(旧暦の3月=現在の4月)に行われていた。

本作では、ワイルド系のおっさんである両さんの誕生日が「女の子のお祝いの日」であることを周囲がからかうシーンがある。実に昭和感を醸し出す描写で、『こち亀』が時代ごとの空気感を反映していることを実感する。

さて、本作には、初期『こち亀』読者なら懐かしくてたまらないキャラクターが2人登場している。

まずは、「タバコ屋の洋子ちゃん」こと、佐々木洋子。彼女は、秋本麗子が登場してレギュラーキャラになる以前の、栄えある「初代こち亀ヒロイン」だ。

愛煙家だった両さん行きつけのタバコ屋の孫娘で、両さんによく懐いていた。中学生だったが成長して高校に進学、やがて警察官となり葛飾署に勤めるようになる。作中で明確な加齢を描かれた、数少ないキャラクターだ。

そして、チャーリー小林。彼は、本作で初登場した「チャーリー小林と安全バンド」のボーカリストだ。

本作以降のお話にもたびたび登場し、「がんばれ!チャーリーの巻」(ジャンプ・コミックス14巻収録)では人気絶頂に。だがその後、次第にその人気は下降し、やがて忘れられた頃に登場しては再起をはかって……を繰り返すネタキャラと化していた。その前兆は、本作で既に見え隠れしている。

だが、『こち亀』連載30周年を記念して「週刊少年ジャンプ」2006年29号で募集した懐かしキャラの人気投票では、15位にランクイン! その結果は、「復活を希望するキャラクター大大発表会!!の巻」(ジャンプ・コミックス155巻収録)で描かれている。

それでは次のページから、両さんたちがひな祭りのお祝いで起こす騒動をお楽しみください!!